不動産投資顧問業は不動産運用に関する業務を行いますが、種別によって「投資家へのアドバイス」に留まるか「資産を預かって運用する」か、という違いがあります。登録申請は国土交通省に対して行いますので、申請書類や手続きの流れについてみていきましょう。
申請の流れ
国土交通省が示す必要書類を揃え、国土交通大臣宛てに申請します。
事前準備
一般不動産投資顧問業または総合不動産投資顧問業の要件を確認します。また、申請に必要な書類の取得収集についてあらかじめ整理しておきましょう。
申請書の作成、提出
国土交通省ホームページに記載されている様式を用い、記入例を参考にしながら申請書類および添付書類を準備します。
一般不動産投資顧問業申請についてはチェックシートが用意されているので、記入ミスがないか確認することが大切です。総合不動産投資顧問業申請については、あらかじめ国土交通省不動産・建設経済局不動産市場整備課投資顧問業係への連絡が必要です。
審査
「公正かつ的確な業務遂行能力」および「知識」に関する審査が行われます。審査基準は、国土交通省が公開する「不動産投資顧問業登録規程の運用について」に記載されているので、十分確認しましょう。
登録決定
国土交通省ホームページの資料によると、登録までに「1ヶ月前後から3ヶ月程度かかります」と記載されています。
登録通知
登録通知書が郵送されます。
要件
国土交通省による通達「不動産投資顧問業登録規程の運用について」によれば、不動産投資顧問業の登録を行ううえで「知識」「経験」それぞれについて要件が示されていることがわかります。要件は一般不動産投資顧問業と総合不動産投資顧問業に分かれていますので、該当する基準を確認しましょう。
一般不動産投資顧問業の登録要件:「知識」
審査基準は以下の通りです。aに関しては、個人であれば「登録申請者および重要な使用人について」、法人であれば「重要な使用人について」の状況を指しています。
- 不動産流通推進センター、日本ビルヂング経営センターまたは不動産証券化境界の行う事業であり国土交通大臣の登録を受けた証明があるか不動産鑑定士の資格を持つこと
- 不動産に係る業務経験を持つ弁護士または公認会計士
- aまたはbに準ずる知識を持っていること
- 国土交通大臣が認めた講習を受講していること
一般不動産投資顧問業の登録要件:「経験」
審査基準は以下の通りです。個人であれば「登録申請者および重要な使用人について」、法人であれば「重要な使用人について」の状況を指しています。
- 1億円以上の不動産に関する投資判断や助言、売買や貸借、管理などの業務経験を持ち、かつ10年以内に2年以上の実務経験があること
総合不動産投資顧問業の登録要件:「財産」
総合不動産投資顧問業の登録を受けるためには、申請書に不備がないことに加え、以下要件をすべて満たしていることが求められます。
- 資本金5千万円以上の株式会社であること
- 今後3年間に資本金が5千万円を下回らない状態を維持していること
総合不動産投資顧問業の登録要件:「人的要件」
- 判断業務統括者がいること
- 重要な使用人および代表者が他の法人などの営業に従事していないこと
- 一般不動産投資顧問業の登録申請者または重要な使用人と同等の知識を持ち、かつ数十億円以上の不動産に関する業務経験を持ち、過去10年以内に2年以上の従事経験を持っていること
- 不動産投資事業担当と運用部門担当を兼任していないこと
必要書類
一般不動産投資顧問業あるいは総合不動産投資顧問業のいずれかにより、用意すべき書類が異なります。
一般不動産投資顧問業の申請書類
- 登録申請書(第1面) )
- 商号、名称又は氏名等(第2面)
- 重要な使用人の氏名等(第3面)
- 営業所の名称及び所在地(第4面)
- 業務の方法(第5面)
- 既に有している免許等(第6面)
- 他の事業の種類及び内容(第7面)
- 主要株主の商号等(第8面)法人のみ
- 役員の兼職の状況(第9面)
- 誓約書
- 履歴書(役員等全員用意)
- 定款・寄附行為等(法人のみ)
- 登記簿謄本等(法人のみ)
- 資格の登録番号
- 決算書
- 資格の保有を証する書類(資格証のコピー可)
- 役員等に係る住民票等 (役員等全員用意。外国人の場合、これに代わる書面。)
- 役員等に係る身分証明書等(役員等全員用意。外国人の場合、これに代わる書面。)
- 返送用封筒(A4サイズ、宛先を記載のうえ140円分の切手を貼付したもの)
※国土交通省資料より抜粋
総合不動産投資顧問業の申請書類
※宅地建物取引業の免許を受けている必要があります。
- 登録申請書(第1面)
- 商号、名称又は氏名等(第2面)
- 重要な使用人の氏名等(第3面)
- 営業所の名称及び所在地(第4面)
- 業務の方法(第5面)
- 既に有している免許等(第6面) 免許証のコピー添付。
- 他の事業の種類及び内容(第7面)
- 業務の方法(第6面)
- 既に有している免許等(第6面)
- 他の事業の種類及び内容(第7面)
- 主要株主の商号等(第8面)
- 役員の兼職の状況(第9面)
- 誓約書
- 履歴書(役員・重要な使用人全員用意。職務経歴を詳細に記載のこと。)
- 定款・寄附行為等
- 登記簿謄本等
- 印鑑証明書(社判)(自署による場合は省略可能)
- 資格の登録番号
- 資格の保有を証する書類(資格証のコピー添付)
- 役員等に係る住民票等(役員等全員用意2.外国人の場合、これに代わる書面。)
- 役員等に係る身分証明書等(役員等全員用意2.外国人の場合、これに代わる書面。)
- 最終の貸借対照表、損益計算書及び利益処分計算書又は損失処理計算書
- 投資一任業務の開始後三年間における当該業務の収支の見込みを記載した書面
- 会社の概要及び沿革
- 役員の兼職及び兼業状況
- 今後三年間(登録申請の日の属する営業年度及びその翌営業年度から起算して三営業年度をいう。次号において同じ。)の純資産額(資産総額から負債総額を減じた金額をいう。以下同じ。)の見込み
- 今後三年間の投資一任契約に係る契約資産額の見込み
- 投資一任業務に関する管理体制の整備状況
- 投資一任業務を営む営業所の名称
- 投資一任業務に関する苦情処理体制並びに過去二年間に寄せられた苦情及びその処理内容を記載した書面
- 返信用封筒(A4サイズ、宛先を記載のうえ140円分の切手を貼付したもの)
※国土交通省資料より抜粋
関係法令
手続先および費用
【手続先】国土交通省総合政策局不動産業課不動産市場整備室投資顧問業係
【費用】無料
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