これから事業を興そうとしたり事業を始めて間もなかったりする場合、運転資金や設備資金などさまざまな場面でお金が必要になってきます。そこで多くの人は、日本政策金融公庫から融資を受けて創業期を乗り越えようとするのですが、お金を借りるためには自己資金の用意が欠かせません。ここでは、自己資金の有無による融資の可能性について説明していきます。
借りるために自己資金は必要か
結論からいえば、日本政策金融公庫から借入れる場合は自己資金が必要になります。例外的に自己資金ゼロでも申し込める制度もありますが、自己資金の有無は審査にも影響すると考えた方がいいでしょう。新創業融資制度を例に挙げれば、その申込みに際して、創業に必要なトータル資金の10分の1以上に相当する自己資金を持っていることが前提になるようです。
日本政策金融公庫が公開している創業支援に関するページでは、「2013年度新規開業実態調査」からわかることとして「創業資金総額に占める自己資金の割合は27%」であることが明記されています。つまり、1,000万円借り入れたければ最低でも270万円~300万円程度の自己資金を用意しておく必要がありそうです。これはあくまでも統計による平均値なので、自己資金の額が大きいほど審査には好影響となるでしょう。
自己資金として認められるものと認められないもの
それでは、どういう性質の金銭であれば自己資金として認められるのでしょうか。ここでは、自己資金として認められるものとそうでないものに分けて、それぞれの特徴を挙げていきます。
自己資金として認められるもの
口座に入っている金銭
口座に入っているお金がどれくらいあるか、預金通帳をもって確認されます。公庫に見せた口座の残高のうち事業に使える分がどの程度あるか、きちんと伝えられるようにしましょう。口座の残高を一時的に増やすために用意した「借りたお金」「返済用に入金してあるお金」などは除外され、事業用資金として確保してある残高を見せることが求められます。
家族からの援助金
家族から事業に関して援助金を受け取っている場合は、それが一時的な残高操作ではないことの証明として、贈与契約書を用意しておくことも大切です。家族間は簡単にお金の貸し借りができますので、それが返す必要のない援助金であることを証明する必要があるのです。
退職金
前職を辞めて事業を立ち上げようとする場合、前に勤めていた会社から退職金が出ているケースもあります。退職金を元手として事業を始める場合は、証明資料として源泉徴収票を用意し提示できるようにしておきましょう。
解約返戻金
掛け捨てではないタイプの保険に加入している場合、解約すると返戻金が発生します。解約返戻金も自己資金として認められるものになるので、証明となる資料を用意して日本政策金融公庫に提示しましょう。解約返戻金に関する証明書類は、保険会社に依頼すれば発行してもらうことができます。時間の余裕をもって依頼し公庫の審査を受ける前に手にできるよう手配することが大切です。
すでに事業に投じたお金
融資申し込み時点ですでに事業にお金を投じている場合は、その分も自己資金として認められます。何にいくら使ったか証明できるように、領収証や帳簿はきちんと用意しておきいつでも見せられるようにしておきましょう。
自己資金として認められないもの
借金全般
借りた相手が家族であれ金融機関であれ、借金には変わりありません。つまり返す必要のあるお金になることから、自己資金としては認められないことになります。
自宅保管のお金(タンス預金)
いわゆるタンス預金と呼ばれるお金も自己資金として認められません。人によっては銀行口座に預け入れるのではなく、自宅で現金をそのまま管理しているケースも見られますが、この場合お金の出入りについて証明する資料がない点が大きなデメリットになるのです。いくら大きな金額でも、どのように貯めてきたお金なのかがわからなければ、有効な自己資金とは見なされないので、時間をかけて口座に積み立てていき、一通り預け入れ終わった時点で融資の申し込みをした方が良さそうです。
まとめ
ここでは、自己資金の有無による審査への影響について説明してきましたが、審査結果を左右するのは自己資金だけではありません。ほかにも重要なこととして、提出書類に不備がないようにする・書類を丁寧に作成し十分な情報を提供する、といった対策も挙げられます。また、事前に会社設立のプロに依頼し綿密な相談のうえで日本政策金融公庫に申し込むことができれば、安心感と融資実現の可能性はより高まることでしょう。
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