技術者や財務基盤、工事実績など、建設業許可業者が一定の基準をクリアしているかを客観的に判断するために行うのが経営事項審査です。公共工事(国または地方公共団体などが発注する建設工事)を発注者から直接請け負う場合は経営事項審査を必ず受ける必要があります。
※民間工事・下請工事のみの場合:経営事項審査は原則不要
経営事項審査の評点計算式
「経営事項審査」とは、官公庁などの発注機関から公共工事を直接請け負いたい建設業者が必ず受けなければならないものです。官公庁などの発注機関は、入札業者(建設業者)のバックグラウンドについて精査するため、欠格事由の非該当の確認に加え経営事項審査により適切な発注先を決定しています。
経営事項審査では、入札業者についてさまざまな角度から見た各種事項を点数化し、それぞれの点数を後述する算定式に当てはめて「総合評定値」を求めます。
審査項目
経営事項審査について、大臣許可業者は国土交通大臣、知事許可業者は都道府県知事の審査を受けることになります。審査項目は大きく5つに分けられ、すでに述べた通り、それぞれの数値の基準により評点を算定し、建設工事の種類ごとに、次の算出式によって総合評点を算定します。
〔X1〕工事種類別年間平均完成工事高の評点
〔X2〕自己資本の額及び平均利益額
〔Y〕経営状況の評点
- 純支払利息比率
- 負債回転期間
- 売上高経常利益率
- 総資本売上総利益率
- 自己資本比率
- 営業キャッシュフロー(絶対額)
- 利益剰余金(絶対額)
〔Z〕建設業の種類別技術職員数及び工事種類別年間平均元請完成工事高評点
〔W〕その他の審査項目の評点
- W1 建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況
- W2 建設業の営業年数
- W3 防災活動への貢献の状況
- W4 法令遵守の状況
- W5 建設業の経理に関する状況
- W6 研究開発の状況
- W7 建設機械の保有状況
- W8 国又は国際標準化機構が定めた規格による登録状況
これらの審査項目に加算された点数は以下の算定式で計算され、総合評定値として導き出されます。
「経営状況分析」結果(Y) + 「経営規模等評価」結果(X・Z・W) = 「総合評定値」(P)
上記の算定式に項目区分(X1~W)までの数値を当てはめて総合評定値を算出しますので、具体的には次のような計算式で算出することになります。
総合評定値(P) = 0.25(X1) + 0.15(X2) + 0.20(Y) + 0.25(Z) + 0.15(W)
※国土交通省「経営規模等評価申請・総合評定値請求(経営事項審査)の手引き」参照
手続きの流れ
経営事項審査の手続きの流れについてみていきましょう。
総合振興局(振興局)等に「決算報告書」を提出する。
決算期終了後4ヶ月以内
登録経営状況分析機関に「経営状況分析(Y)」の申請を行う。
経営状況の分析は、国土交通大臣が登録した登録経営状況分析機関が行っています。登録番号と登録機関は以下のとおりです。
1(一財)建設業情報管理センター
2(株)マネージメント・データ・リサーチ
3ワイズ公共データシステム(株)
4(株)九州経営情報分析センター
5(株)北海道経営情報センター
6(株)ネットコア
7(株)経営状況分析センター
8経営状況分析センター西日本(株)
9(株)NKB
10(株)建設業経営情報分析センター
※ここで、経審評価項目の1つである「経営状況分析Y点」が与えられます。
総合振興局(振興局)等に「経営規模等評価申請」「総合評定値請求」を行う。
「経営規模等評価申請」「総合評定値請求」とは経営事項審査のことを指しており、次のような書類を提出して審査を受けることになります。
- 経営規模等評価申請書及び総合評定値請求書
- 工事種類別完成工事高
- 技術職員名簿
- その他の審査項目
- 経営状況分析結果通知書
- 確認資料(決算報告書、工事実績証明書類(契約書など)、監理技術者講習修了証など)
- 北海道収入証紙
経営事項審査の結果通知書の受領
経営事項審査の結果を通知する「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」を受領します。本通知書には審査結果として総合評定値(P点)が記載されており、発注機関はこれを参照して最終的な発注先を決定することになります。
入札参加資格申請
希望する入札先(地方公共団体など)に対し、入札参加資格申請手続きを行います。
手続先および手数料
【手続先】
許可権者により窓口は変わります。
◆知事許可業者の場合
許可を受けた総合振興局(振興局)建設指導課土木係(石狩は指導審査係)
◆道内に本店を持つ大臣許可業者の場合
国土交通省北海道開発局 事業振興部 建設産業課
【経営事項審査の手数料】
◆経営状況分析(Y):各登録経営状況分析機関に要問合せ
◆経営規模等評価申請(X、Z、W):8,100円(基本額)+(2,300円×業種数)
◆総合評定値請求(P):400円(基本額)+(200円×業種数)
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