外国人の方が日本国籍を得て帰化するためには、どのような手続きが必要なのでしょうか。必要書類や許可申請の流れについてみていきましょう。
帰化に求められる条件
帰化は簡単には認められず、さまざまな条件を満たす必要があります。国籍法には以下の条件が明記されていますが、帰化が認められるかどうかは個々に判断されるため、必ずしも帰化を保証するものではありません。
住所要件
引き続き5年以上にわたり日本に住所を有していることが必要です。なお、帰化を求める外国籍の人物は、適法な在留許可のもとに日本で暮らしていることが求められます。なお、国籍法によれば、次のケースに該当する場合は帰化が認められるとしています。
- 外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるとき
- 日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有するもの
- 日本で生まれた者で引き続き三年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
- 引き続き十年以上日本に居所を有する者
- 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するもの
- 日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するもの
- 日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの
- 日本国民の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であつたもの
- 日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く。)で日本に住所を有するもの
- 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き三年以上日本に住所を有するもの
- 日本に特別の功労のある外国人
※国籍法参照
能力要件
帰化を求める者が18歳以上であり、本国法に照らし合わせても成人に達していることが必要です。
素行要件
当該外国人の素行が善良でなければなりません。たとえば犯罪歴の有無や納税状況、社会に対する迷惑行為の有無などを総合的に判断します。
生計要件
日本での生活について、困窮したり他に依存したりすることなく生活していけることが前提となります。世帯単位で判断されるため、自分に収入がなくても配偶ややその他親族に収入や資産があれば申請に支障はありません。
重国籍防止要件
日本では多重国籍を認めていません。したがって、帰化により日本国籍を得た場合は本国の国籍を放棄する必要があります。ただし、場合によっては重国籍防止要件を満たしていなくても、例外的に帰化が認められる場合があります。
憲法遵守要件
日本国憲法に対して誠実であり遵守する意思が問われます。たとえば、日本政府を暴力で破壊することを企て又は主張する者、あるいはそうした団体の結成又は加入している者は帰化が認められません。
※なお、日常生活レベルの日本語能力を有していることが求められます。
申請の流れ
帰化許可申請を行うには、まず法務局に事前相談し、その後必要書類を所轄庁に提出する流れを辿ります。
事前準備
帰化許可申請に関する疑問点などについて、法務局で事前相談を行います。このとき、法務局から申請に必要な書類などについて指示があります。
必要書類作成
事前準備の際に指示された書類をすべて用意したら、あらためて法務局に予約をとり、書類持参のうえで不備の有無を確認してもらいます。
書類提出
決められた日時に必要書類を持参して法務局に出向き、受理してもらいます。本国から取り寄せた書類など日本語以外の言語で作成された書類については、翻訳者を明記して日本語訳文を添付する必要があります。
面接
書類が受理されてから数ヶ月後に、帰化申請者本人への面接が行われます。面接では以下の事柄について問われます。
- 国籍法第5条第1項に記載された条件を満たすかどうか
- 提出書類の内容に関する質問
- 帰化を望む理由
- 日本語力の確認 など
許可・不許可の決定
法務局から許可または不許可に関する連絡が来ます。帰化が許可されると官報に掲載されます。
必要書類
一般的には以下の書類が共通して求められるようですが、申請者の出身国や身分関係、職業により提出すべき書類は大きく異なります。法務局の事前相談で指示された書類を漏れなく用意しましょう。また、国籍を証する書面及び身分関係を証する書面は、原則として本国官憲が発給したものを提出する必要があります。
- 帰化許可申請書(申請者の写真が必要)
- 親族の概要書
- 履歴書
- 帰化の動機書
- 国籍を証する書面
- 身分関係を証する書面
- 外国人登録原票記載事項証明書
- 宣誓書
- 生計の概要書
- 事業の概要書
- 在勤及び給与証明書
- 納税証明書
国籍の選択時期
何歳で日本及び外国の国籍を有することになったかにより、国籍選択時期は変わります。
- 18歳以前の場合:20歳までに国籍選択
- 18歳以降の場合:18歳に達してから2年以内に国籍選択
日本国籍の離脱について
日本国籍と外国国籍の両方を有している者が日本国籍を離脱する場合があります。このようなときは、法務省に対して届け出なければなりません。日本国籍を失うケースとして以下を挙げることができます。
(国籍の喪失)
第十一条 日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。
2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。
第十二条 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う。
第十三条 外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を離脱することができる。
※国籍法第11条~第13条より抜粋
関係法令
国籍法施行規則 等
手続先および費用
【手続先】
札幌法務局
札幌市北区北8条西2丁目1番1 札幌第1合同庁舎
【費用】
無料
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