個人事業主や小中企業が事業を興したいと考えたとき、まず必要になるのは起業のための資金です。資金調達の手段の1つとして日本政策金融公庫の存在があります。ここでは、日本政策金融公庫を利用するメリットとデメリットについて解説していきます。
日本政策金融公庫とは
日本政策金融公庫とは、100%国が運営する公的な金融機関であり、民間金融機関の利用が困難なケースも含めて、広く事業者などに向けた融資を行っています。日本政策金融公庫が行う国民生活事業では、事業を興そうとする事業者に向けて幅広い融資プランを扱っているのです。
日本政策金融公庫を利用するメリットとデメリット
国が運営する機関だけに、民間の金融機関とは異なるメリットが存在します。
日本政策金融公庫を利用するメリット
【申し込みから融資実行までスピーディーである】
民間の金融機関を利用した場合、事業性資金の貸付が決定し振り込まれるまでに1カ月以上かかると考えておいた方がいいかもしれません。しかし、例えば起業したい事業者の場合、少しでも早く資金を手にしない限り肝心の事業を開始できませんので、つなぎ資金の工面に苦労することも考えられます。
日本政策金融公庫であれば、申し込みから融資の実行までおよそ1ヵ月で完結することが多いため、早い段階で申し込みを済ませておけばスケジュールも立てやすく、融資実行を見込んで起業準備を進めていくことができるのです。
【公的機関からの融資実行によるお墨付きが得られる】
民間の金融機関の審査が長く厳しいのは、これから起業しようとする事業者に対する信用が乏しいからだといえます。本当に事業計画書通りに仕事を継続していけるのか、利益の見込みは本当にあるのかなど、あらゆる角度から審査を行いますので、なかには審査落ちしてしまう事業者がいるのも事実です。
しかし、日本政策金融公庫の融資を受けることができれば、「公的金融機関が融資した」というお墨付きが生まれることになるため、その後、民間の金融機関に申し込む際の大きな安心要素となるでしょう。国の機関から融資を受けられるということは、事業の見通しや返済能力が一定程度認められていることを示しますから、民間の金融機関からの融資も受けやすくなるといわれています。
【審査が比較的通りやすい】
民間の金融機関から断られたケースでも、日本政策金融公庫に申し込んで審査を通過した事例は数多くあるといわれています。このことから、巷では「日本政策金融公庫の審査はゆるい」といわれがちですが、日本政策金融公庫は全ての審査に関して寛容であるわけではないので、よく理解しておきましょう。指定されている基準をクリアしていることは最低限必要な条件となります。
日本政策金融公庫を利用するデメリット
メリットとデメリットは常に対になって存在しています。ここではデメリットについてみていきましょう。
【財務状況の良し悪しに金利が左右されない】
民間の金融機関では、財務状況を見て金利を増減させ、自らのリスク対策を講じるのが一般的です。財務状況が芳しくなければその分金利を高くしてリスクに備えますし、逆に財務状況が良好であると判断できれば、返済能力が評価されて金利が安くなる傾向にあります。
一方、日本政策金融公庫では、民間の金融機関のような評価方法をとりません。事業者の財務状況の良し悪しに関わらず、当該金融商品としての金利が一律に適用されるのです。
【提出書類が多岐に渡る】
特に初めて日本政策金融公庫の融資申し込みをする場合、必要とされる提出書類の多さに面倒を感じてしまう人は少なくありません。民間の金融機関より受け入れの間口が広いとはいえ、
- どのような事業者なのか
- 事業の見通しはどうなのか
- 返済能力を見込むことはできるか
といったことを見極めなければなりませんので、初回申し込みの事業者に対しては、審査に要する書類が多数求められることになります。
まとめ
日本政策金融公庫の特徴として、比較的審査に通りやすく低金利で、なかには無担保・無保証の融資制度まで存在するということが挙げられます。民間の金融機関と比較した場合、これらの条件は事業者にとって大きなメリットになるのは事実でしょう。
ただし、デメリットのところでも述べたように、初めて日本政策金融公庫を利用する場合は多種多様な書類の提出を求められます。事業者としては、どういったところを見て判断されるのか不安に繋がる点だともいえます。
当事務所では、起業サポートに加え日本政策金融公庫に対する融資申し込みのフォローも行っていますので、ぜひご活用ください。日本政策金融公庫という機関の特徴や審査でみられるところを熟知していることから、適切かつ不備のない書類準備を実現することが可能です。専門家の力を借りてしっかりと準備し、融資を受け、余裕を持った状態で事業を開始できる環境を整えることをおすすめします。