ものづくり補助金がサポートする対象は、基本的に「現状から大きく改善していくための設備投資」がメインになります。対象となる事業者は補助金の申請ができますが、審査に通って採択されなければ資金の給付を受けることができません。ここでは、ものづくり補助金の採択率や採択されるためのポイントについて説明していきます。
補助金申請の採択率の傾向
まずは、ものづくり補助金事業公式ホームページを参照し、各回の応募者数と採択者数、そこから導き出される採択率についてみていきましょう。
応募者数 | 採択者数 | 採択率 | |
1次 | 2,287 | 1,429 | 62.5% |
2次 | 5,721 | 3,267 | 57.1% |
3次 | 6,923 | 2,637 | 38.1% |
4次 | 10,041 | 3,132 | 31.2% |
5次 | 5,139 | 2,291 | 44.6% |
6次 | 4,980 | 2,362 | 47.4% |
7次 | 5,507 | 2,768 | 50.2% |
8次 | 4,653 | 2,780 | 59.7% |
※参考:ものづくり補助金事業ホームページ
採択率を追ってみると、低いときは30%台~高いときは60%台と幅がありますが、平均を求めると約50%弱という傾向がみられます。約半数の申請が採択されていることになりますが、ポイントとしては、事業計画書を含む申請書類をいかに不備なく用意するかというところになりそうです。
採択可否をわける事業計画書の重要性
ものづくり補助金の申請を行い採択してもらうために最も重要なのは、事業計画書であるとされています。事業計画書作成の基準となる年度の考え方は以下の通りです。
- 申請の締切日の6ヶ月以内に決算があった場合はその実績値
- 決算から6ヶ月以上経過している場合は当期決算の見込値
この2つの条件を前提として、申請時から3年間・4年間・5年間のいずれかの事業計画期間を決定します。申請においては、次に挙げる3つの要件を満たすことが必要です。
【要件1】付加価値額が年平均3%増加となること
基準となる年度から事業計画書の終了年度に向けて、付加価値額が年平均3%以上増加となることが求められます。年平均3%以上増加ですから、事業計画書が3年分であれば9%、4年分であれば12%、5年分であれば15%が最低ラインとなるでしょう。
「付加価値額=人件費+減価償却費+営業利益」であることから、事業計画書が3年分の場合は「3年間で従業員に給与を支払いつつ設備投資も行い、利益を出していく」という成長戦略を持っていることが前提になるのです。未達でも問題ないといわれていますが、審査担当者を納得させるためには十分な根拠や信憑性があることが非常に重要です。どのようにして根拠や信憑性を持たせるか自分で対応しきれない場合は、会社設立業務の専門家から助言をもらうことも検討するといいでしょう。
【要件2】年平均1.5%以上の賃上げ増加となること
基準年度を起点として、事業計画期間が終了するまでに給与支給総額が年平均1.5%以上増加していることが求められます。年平均1.5%以上増加ですから、事業計画書が3年間分であれば4.5%、4年分であれば6%、5年分であれば7.5%が最低ラインとなるでしょう。要件1と異なる点として、未達は認められず、事業計画終了時点で確実に実績を出していることが重要です。未達の場合は補助金返還の対象となるので注意しましょう。
【要件3】地域別最低賃金+30円以上を確約すること
最低賃金は地域により異なりますが、事業計画期間内に申請対象とする事業場に勤める全ての社員の給与を最低賃金+30円以上とすることを確約する必要があります。未達は認められず、事業計画書終了時点で実績として達成していなければなりません。未達の場合は補助金返還の対象となります。
まとめ
過去の補助金の採択率を見ると、30%台から60%台と非常に幅が広く、変動しやすいことがわかります。補助金の情報が公開された直後に比べると、予算が減っていく年度後半に向けて採択率が落ちていくようです。補助金の種類によって予算が変わってくることを踏まえれば、毎回の採択率に変動が起こるのも当然といえるでしょう。補助金に関する情報は常にチェックするようにし、公開されたらできるだけ早い時点で申請を済ませることが大切になってきます。そのためにも、スムーズに事業計画書を作成し必須ポイントをカバーできる体制を整えておくことが求められるので、専門家と相談しながら補助金申請に向けた環境作りを常に心がけるようにするといいでしょう。