第3種旅行業は第1種・第2種とは異なり、募集型企画旅行の取扱いができない旅行業です(ただし隣接市町村などは可)。ここでは、第3種旅行業の登録申請要件と申請に必要な書類について説明していきます。
第3種旅行業の業務範囲
平成19年の旅行業法改正により第3種旅行業の業務範囲が変更されました。それまで許可されていなかった国内向け募集型旅行商品の取扱いが可能になったのです。ただし許可されているのは、営業所所在地の隣接市町村などに限ります。
【第3種旅行業】
国内向け受注型企画旅行契約
海外および国内向け手配旅行契約
海外および国内向け他社募集型企画旅行代売
第3種旅行業の登録申請要件と申請書類
第3種旅行業の登録申請を行うためには、以下の条件を満たしている必要があります。
第3種旅行業の登録申請要件
営業保証金
第3種旅行業の営業保証金は300万円と定められています。ただし、旅行協会に加入することで営業保証金は5分の1まで圧縮することができるため、協会に加入し弁済業務保証金分担金として60万円を納付する手段もあります。
基準資産
第3種旅行業の場合、基準資産額は300万円以上とされています。具体的な額は、以下の計算式を用いて求めます。
【基準資産額の計算式】
資産合計-負債合計-【営業保証金の額または弁済業務保証金の額】-資産の部における▲=基準資産額
【貸借対照表】
資産の部 |
A
うち、 ▲不良債権 ▲繰延資産(創業費等) ▲営業権 |
B | 負債の部 |
C
うち、資本金〇〇万円含む |
純資産の部 |
「資産総額-繰延資産-営業権-負債総額-営業保証金または弁済業務保証金分担金」で算出されます。
旅行業務取扱責任者の選任
海外旅行を扱う「総合旅行業務取扱管理者」と国内旅行を扱う「国内旅行業務取扱管理者」のうち適切な人員を選任します。1つの営業所に対して1名以上の旅行業務取扱管理者を、10名以上のスタッフがいる営業所については2名以上の旅行業務取扱管理者を置かなければなりません。
定款
定款には明確に「旅行業」あるいは「旅行業法に基づく旅行業」と記載する必要があります。
旅行業登録申請書類について
第3種旅行業の登録申請書類は以下の通りです。不備なく揃えるよう気を付けましょう。登録申請先は都道府県知事であり、申請内容が認められるまではおよそ30日から40日かかるとされています。
- 新規登録申請書
- 定款または寄付行為
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 役員の宣誓書
- 事業計画書
- 旅行業務にかかわる組織の概要
- 直近の決算書類
- 旅行業務取扱管理責任者一覧表
- 営業所の使用権を明らかにする書類(登記簿謄本もしくは賃貸借契約書の写し)
- 事故処理体制の説明書
- 標準旅行業約款
旅行業開始までの流れ
- 北海道知事への申請
- 申請書類作成・準備
- 申請前の相談
- 北海道知事宛てに申請書類を提出
- 北海道の担当窓口で受け付けて審査開始
- 北海道の担当窓口から登録の通知
- 旅行業新規登録手数料納付
- 営業保証金を供託するか、旅行業協会に加入する場合は弁済業務保証金分担金を納付
- 供託書または弁済業務保証金分担金納付書の写しを提出
- 店舗内に登録票・約款・料金表を掲示し営業開始
まとめ
日本旅行業協会(JATA)が公開する資料によれば、日本における旅行業として最も割合が大きいのが第3種旅行業です。たとえば、2015年時点での第2種登録数は2,776件である一方第3種登録数は5,524件とおよそ2倍となっています。2020年時点では件数こそ横ばいですが、第2種で3,043件、第3種では5,692件であることがわかります。2020年の旅行業者の総計が11,948件ですから、約半数近くが第3種旅行業を営んでいるのです。
このことを踏まえても、日本人・外国人に関わらず今後も第3種旅行業への参入は減ることがないと想定されるでしょう。当然ながら会社設立から旅行業登録申請の必要性も高まるため、積極的に専門家のサポートを受けながらスムーズな営業開始を実現したいものです。当事務所では、元旅行業者だった外国人スタッフもおり、また経験豊富な行政書士が対応していますので、ぜひお気軽にご相談ください。