第3種旅行業は第2種旅行業に比べると取り扱うことができる旅行商品が限られていることから、旅行業の種別を変更したいと考えるケースがあります。ここでは、第3種旅行業から第2種旅行業に変更するための書類や手続きの流れについて説明していきます。
第2種旅行業に変更するための必要書類
法人として第3種旅行業から第2種旅行業に変更するための必要書類は以下の通りです。すべての書類を用意したら、北海道に対して申請を行います。
変更登録における必要書類
変更登録申請書
- 旅行業務にかかわる事業計画書
- 旅行業務にかかわる組織概要
- 法人税の確定申告書と直近決算期の添付書類
- 変更があった場合は旅行業務にかかわる組織概要
- 旅行業務取扱管理者選任一覧表
- 旅行業務取扱管理者の合格書の写し
- 旅行業務取扱管理者の履歴書
- 旅行業務取扱管理者の宣誓書
- 標準旅行業約款
- 供託書又は弁済業務保証金分担金の写し
新規に旅行業登録を行う場合に比べれば、定款作成を始めとするいくつかの書類の用意を省くことができますが、供託書あるいは弁済業務保証金分担金の写しを提出しなければなりません。
基準資産額に関しても変更があるので注意しましょう。第2種旅行業における基準資産額は700万円以上ですので、十分に費用を用意してから手続きに臨む必要があります。
第2種旅行業への変更手続きの流れ
北海道においては、必要書類を北海道庁に提出します。
- 提出先:北海道経済部観光局観光政策グループ
- 書類提出:持参に限る
- 申請手数料:北海道収入証紙(20,600円)
北海道における一般的な処理期間は約40日とされていますが、前後する可能性もあるためいつでも開業できる準備は整えておきましょう。
登録通知書の受け取りから営業開始へ
審査を経て変更登録が認められると、登録通知書が発行されるのでこれを受け取ります。登録通知書を受け取ったら、次の重要なステップとして、営業保証金の供託あるいは弁済業務保証金分担金の納付を行いましょう。納付したら営業保証金供託届出書あるいは弁済業務保証金分担金納付届出書が発行されるので、写しを北海道に提出します。
すべての書類提出が済んだら、以下を営業所内に掲示し第2種旅行業としての業務を開始することができます。
- 登録票
- 取扱料金表
- 旅行業約款
営業保証金などの納入について
旅行業協会の会員にならず、営業保証金を法務局に供託している第3種旅行業者の場合、開業時に旅行業協会へ加入することもひとつの選択肢になります。あらかじめ旅行業協会へ加入することにより、供託金の額を抑えることができるからです。
たとえば、第3種旅行業として営業保証金を法務局に供託する場合、営業保証金として300万円が必要になります。基準資産額は300万円ですから、合計600万円を用意しなければなりません。ここからさらに第2種旅行業へ変更する場合、基準資産額は700万円となり、法務局に供託する営業保証金も1,100万円にのぼるので、合計1,800万円もの金銭準備が求められます。
旅行業界への加入で費用負担の軽減を
金銭的に大きな負担がかかると肝心の「第2種旅行業としての開業」自体が遅れてしまう可能性もあるので、このような場合は旅行業協会への加入を積極的に検討するといいでしょう。第3種旅行業者として旅行業協会に加入すれば、営業保証金は弁済業務保証金分担金として扱われ営業保証金の5分の1を供託すればいいことになっています。
つまり、第3種旅行業の営業保証金として供託すればいいのは弁済業務保証金分担金60万円となるため、基準資産額と合わせると360万円で済みます。このまま第2種旅行業に変更した場合、営業保証金1,100万円の5分の1である220万円を納めればいいので、結果的には差額の140万円を追加供託すればいいことになります。
一方、すでに第3種旅行業を営んでおり旅行業協会に未加入だった場合、変更登録に先んじて旅行業協会に加入することも選択肢の一つになります。この場合、法務局に供託していた営業保証金の払戻しを受けたうえで、旅行業協会における弁済業務保証金分担金220万円を納める流れになるので、やはり差額だけを納入すればいいことになります。
まとめ
第3種旅行業から第2種旅行業への変更について、必要書類や手続きの大まかな流れ、そして供託金の扱いについて説明してきました。特に重要になってくるのは供託金ですので、旅行業会への参入に際し旅行業協会に加入することで金銭的負担を軽くすることも検討してみましょう。
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