旅行会社を設立するにあたり、「旅行」の種類を理解しておく必要があります。ここでは、さまざまある旅行形態の中でも代表的な、募集型企画旅行・受注型企画旅行・手配旅行について説明していきます。
募集型企画旅行・受注型企画旅行・手配旅行の概要
募集型企画旅行・受注型企画旅行・手配旅行はそれぞれどのような形態の旅行商品なのでしょうか。ここでは、各旅行について概要をまとめていきます。
募集型企画旅行
募集型企画旅行とは、旅行会社が目的地・日程・移動方法・宿泊先などの旅行サービス内容を決めた旅行商品のことをいいます。あらかじめ作成されたこれら旅行商品は、紙媒体やインターネット媒体を通して周知され、旅行客を獲得していくのです。いわゆるパックツアーなどとよばれる旅行商品は募集型企画旅行に当たります。
旅行会社の責任として、旅行者に対し以下の義務を負いますので理解しておきましょう。
- 運送手配
- 宿泊先手配
- 旅程の管理 など
受注型企画旅行
受注型企画旅行とは、旅行者の依頼を受け、旅行会社が旅の目的地や日程、旅行内容などを決めてひとつの旅行商品を作り実施するものです。いいわゆるオーダーメイドに該当するため、旅行会社は旅行者に対して企画料金を請求することができます。旅行会社の責任範囲は募集型企画旅行と同様です。
手配旅行
旅行者の依頼に基づいて航空券を取得したりホテルや電車・バスなど移動手段を手配したりするものを手配旅行といいます。旅行者に代わって必要な手続きの一部を担うため、代行業にも該当します。
募集型企画旅行・受注型企画旅行・手配旅行の違いを比較
それぞれの旅行形態について、もう少し詳細に整理し比較してみます。
募集型企画旅行の特徴
- 旅行計画作成者:旅行会社
- 旅行者:旅行商品への参加を希望する不特定の旅行者
- 旅行会社への支払い内容:旅行代金に加え燃油サーチャージなどの別途費用
- 契約成立タイミング:旅行会社と旅行者が契約に同意し申込金の授受が行われたとき
- キャンセル料:国内旅行は20日前から、海外旅行は30日前からを原則とする
- 特別補償:旅行中の事故に対する補償を行う
- 旅程保証:契約に基づく旅行実施について保証を行う
- 旅程管理・安全確保:スムーズな旅行実施のために添乗員を同行させることが多い
受注型企画旅行の特徴
- 旅行計画作成者:主に旅行会社
- 旅行者:旅行商品への参加を希望する特定の旅行者
- 旅行会社への支払い内容:企画料金を含む旅行代金に加え燃油サーチャージなどの別途費用
- 契約成立タイミング:旅行会社と旅行者が契約に同意し申込金の授受が行われたとき
- キャンセル料:契約成立後から適用
- 特別補償:旅行中の事故に対する補償を行う
- 旅程保証:契約に基づく旅行実施について保証を行う
- 旅程管理・安全確保:スムーズな旅行実施のために緊急連絡先を明らかにする
手配旅行の特徴
- 旅行計画作成者:旅行者
- 旅行者:旅行商品への参加を希望する不特定の旅行者
- 旅行会社への支払い内容:手配業務の実費に加え手数料
- 契約成立タイミング:旅行会社と旅行者が契約に同意し申込金の授受が行われたとき
- キャンセル料:契約成立後から適用
- 特別補償:なし
- 旅程保証:なし
- 旅程管理・安全確保:なし
このように、同じ旅行商品でも「旅行者が誰か」「各旅行商品の特徴はどこにあるか」によって、旅行会社が提供するサービス内容や負うべき義務が変わってくることがわかります。
まとめ
旅行会社を設立するとき、まずは種別を決定し登録申請を行いますが、重要なのは「選択した旅行業種別ではどのようなサービスを提供しどのような義務を負うのか」をきちんと理解することです。旅行者との責任の割合も変わりますし、補償義務が生じることもあるので、もし設立についてご不安をお持ちの場合は当事務所までご相談ください。現状をしっかりヒアリングしたうえで疑問にお答えし、必要に応じ旅行会社設立~営業までの流れについて密度の濃いサポートをさせていただきます。