旅行業者としての登録が完了したら、14日以内に営業保証金の供託を行わなければなりません。このタイミングで旅行業協会に加入するケースが多くみられます。ここでは、対象となる旅行業協会のうち、全国旅行業協会(ANTA)への入会について説明していきます。
全国旅行業協会(ANTA)への入会の流れ
旅行業として登録が決定したら、14日以内に法務局または加入する旅行業協会に対し営業保証金の供託手続きを行う必要があります。法務局に供託する場合は営業保証金全額を用意しなければなりませんが、旅行業協会に入会することにより営業保証金は弁済業務保証金分担金として扱われ、供託すべき営業保証金が5分の1の金額で済みます。
また、旅行業協会に入会することで今後の営業における種々のサポートを受けることができ、旅行客にとっても大きな安心材料となるため、多くの旅行会社が旅行業協会に加入しているのが実情です。
全国旅行業協会(ANTA)への入会
まずは、全国旅行業協会(ANTA)への入会の流れを理解しておきましょう。
- 入会申請書提出
- 入会審査
- 全国旅行業協会による入会ヒアリング
- 旅行業登録通知の写しと旅行業者登録簿の写しを提出
- 入会金及び会費、弁済業務保証金分担金を全国旅行業協会に納付
- 弁済業務保証金分担金納付書を全国旅行業協会に送付
- 全国旅行業協会常務理事会による入会審議
- 全国旅行業協会入会承認通知
北海道旅行業協同組合について
一方、北海道には「北海道旅行業協同組合」という組織がありますが、これは全国旅行業協会会員のうち賛同した企業などにより運営されている団体ですので、道内旅行を取り扱いたい場合は入会を検討してみるのもいいでしょう。組合として活動することにより、北海道の魅力満載の旅行企画をサポートしてもらうことができますので、旅行会社としての活動範囲が広がることが想像されます。
全国旅行業協会(ANTA)への入会条件
全国旅行業協会に入会するためには、いくつかの条件をクリアしている必要があります。
入会条件
正会員
旅行業代理業者を除き、旅行業法に基づく旅行業者であること。
賛助会員
全国旅行業協会の目的に賛同する旅行業者であること。
入会方法
入会を希望する場合は、全国各支部に対して手続きを行います。入会に際しては一定の必要要件が設けられているので、それぞれクリアできているか確認してください。
- 旅行業法第6条(登録の拒否)の項目に該当しないこと
- 1名以上の総合あるいは国内旅行業務取扱管理者を常勤雇用していること(1営業所において10名以上の従業員がいる場合は2名以上)
- 基準資産の最低金額を満たしていること(第1種3,000万円以上、第2種700万円以上、第3種300万円以上、地域限定100万円以上)
入会に必要な費用
正会員か賛助会員かで必要な費用は変わってきます。なお、正会員になると、営業保証金が5分の1になる「弁済業務保証金分担金」の扱いを受けることができるなどの特典があります。
正会員
第1種:2,250,000円
第2種: 650,000円
第3種: 550,000円
地域限定旅行業:400,000円
なお、年会費は都道府県ごとに異なる場合があるため、北海道の場合は一般社団法人北海道旅行業協会まで問い合わせましょう。
賛助会員
年会費:50,000円
まとめ
旅行業界に参入したら、単独で運営を続けていくこともできますが、全国旅行業協会のような同業者の集まりに参加しておくことも選択肢のひとつだといえます。業界の動向を随時把握できたり旅行者にとっての安心材料になったりしますので、それだけでも参加の意義は大きいといえるでしょう。なにより、営業保証金が5分の1額になる弁済業務保証金分担金の特典はぜひ受けたいメリットです。
一方、通常営業を行いながら入会手続きを行うには手間と労力が必要ですので、ぜひ当事務所までご相談ください。申請に関する書類作成から申請業務はもちろん、申請から入会後までの切れ目のない営業を実現するスケジューリングについてもご相談を承ります。