旅行業を始めようとする場合、第一種旅行業なら観光庁長官、第二種・第三種旅行業なら北海道知事が登録行政庁となります。旅行業登録要件や必要書類、手続きの流れについてみていきましょう。
旅行業登録の要件
旅行業を営むためには、「欠格事由に該当しないこと」と「財産的基礎があること」が求められます。
欠格事由に該当しないこと
次の欠格事由のいずれかに該当する場合には、申請が拒否されます。
- 旅行業又は旅行業者代理業の登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過していないもの(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内に当該法人の役員であった者で、当該取消しの日から5年を経過していないものを含む)。
- 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者
- 暴力団員等
- 申請前5年以内に旅行業務に関し不正な行為をした者
- 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が上記1~3のいずれかに該当するもの
- 心身の故障により旅行業若しくは旅行業者代理業を適正に遂行することができない者として国土交通省令で定めるもの又は破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 法人であって、その役員のうち1~4まで、又は6のいずれかに該当する者があるもの
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者
- 営業所ごとに旅行業務取扱主任者を、確実に選任すると認められない者
- 旅行業を営もうとする者であって、当該事業を遂行するために必要と認められる業務の範囲ごとに国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しないもの
- 旅行業者代理業を営もうとする者であって、その代理する旅行業を営む者が2以上であるもの
※旅行業法「登録の拒否」より抜粋
財産的基礎があること
旅行業(旅行業者代理業は除く)を登録(更新・変更登録を含む)するものは、業務の範囲ごとに国土交通省令で定める以下の基準に適合する財産的基礎を有する必要があります。
- 第1種旅行業‥‥3,000万円
- 第2種旅行業‥‥ 700万円
- 第3種旅行業‥‥ 300万円
【財産的基礎の算定方法】
資産合計-(負債合計+不良資産)-営業保証金又は弁済業務保証金分担金=基準資産額
※この計算で基準資産が満たない場合は、増資等の処置をとります。また、資産又は負債の評価額が貸借対照表の価額と異なることが明確なときは、再評価額をもって計算します。(例:不動産等)
旅行業務取扱主任者を選任すること
旅行業(旅行業者代理業を含む)を登録する者は、営業所ごとに旅行業務取扱管理者の資格を有する者を選任しなければなりません。
- 海外旅行業務(手配・代売)を行う場合は、総合旅行業務取扱管理者を選任
- 国内旅行業務のみの場合は、国内旅行業務取扱管理者を選任
営業保証金の供託または弁済業務保証金の納付
旅行業(旅行業者代理業は除く)を新規に登録した場合、登録通知を受けた日から14日以内に法務局に営業保証金を供託しなければなりません。ただし、(社)日本旅行業協会又は(社)全国旅行業協会の入会承認を得ている場合は弁済業務保証金分担金を協会に納付することにより、営業保証金供託は不要となります。
【営業保証金の額】(すべて最低額、取引見込額に応じてスライド)
- 第1種旅行業‥‥7,000万円~
- 第2種旅行業‥‥1,100万円~
- 第3種旅行業‥‥ 300万円~
※弁済業務保証金分担金の額は、営業保証金の5分の1の額となります。
手続きの流れ
必要書類を揃えて申請窓口に提出し、登録されたら営業開始にいたります。
申請書類の準備と提出
申請書および添付書類が揃ったら、第一種もしくは第二種・第三種のいずれかにより、適切な窓口に提出します。
- 第一種旅行業登録申請:北海道運輸局観光部観光企画課
- 第二種・第三種旅行業登録申請:北海道経済部観光局観光振興課
登録決定
北海道ではおよそ40日をめどに登録処理されるといわれており、登録処理が完了すると登録通知書が交付されます。
営業保証金・弁済業務保証金分担金の払い込み
法務局に営業保証金を供託するか、あるいは日本旅行業協会(JATA)や全国旅行業協会(ANTA)に弁済業務保証金分担金の払込を行います。
営業開始
供託書または弁済業務保証金分担金納付書の写しを、登録行政庁に送付します。これにより営業開始することができるようになります。
申請に必要な書類
以下のうち、申請する旅行業の分類に応じて適切な書類を行政庁に提出しなければなりません。
- 登録申請書
- 定款または寄付行為(法人の場合)※事業目的に「旅行業法に基づく旅行業」と明記
- 登記事項証明書(個人の場合は住民票)
- 役員の欠落事由に該当しない旨の宣誓書(個人の場合は本人のみ)
- 旅行業務に係る事業の計画
- 旅行業務に係る組織の概要
- 最近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書(個人の場合は財産に関する調書)及び資産負債の明細(確定申告書の写し等)
- 最近の事業年度における決算書類に関する監査証明または資産負債証明書
- ⑧旅行業務取扱管理者選任一覧表、合格証または認定証の写し、履歴書、欠落事由に該当しない旨の宣誓書
- 事故処理体制表
- 旅行業約款
- 営業保証金供託所又は弁済業務保証金分担金納付書の写し
- 旅行業協会に加入する場合は入会承認書
- 旅行業者代理業者業務委託契約書の写し
※北海道ホームページより抜粋
関係法令
旅行業法施行規則 など
手続先および費用
【手続先】
- 「第2種」「第3種」「地域限定」旅行業及び旅行業者代理業の場合
北海道経済部観光局観光振興課(観光企画)
札幌市中央区北3条西6丁目 道庁9階
- 「第1種」旅行業の場合
北海道運輸局観光部観光企画課
札幌市中央区大通西10丁目 札幌第2合同庁舎
【手数料】
第一種旅行業:90,000円
第二種・第三種旅行業:20,600円
旅行業登録申請のサポートは当事務所行政書士へ
当事務所では上記手続きに関して、手続きの代行、書類作成、アドバイスを行っております。面倒で複雑な手続きは当事務所を是非ともご利用ください。