農地又は採草放牧地について所有権の移転や地上権・永小作権・質権・使用貸借・賃借権などの使用、収益を目的とする権利の設定・移転を行うときは、農地法第3条の許可が必要になります。
許可権者
原則として農業委員会が許可権者となります。ただし、対象の農地が居住地外の市町村にある場合は都道府県知事の許可が必要になります。
※ 贈与・競売により取得する場合にも許可が必要です。また、抵当権設定に許可は必要ありません
許可要件
農地法第3条の許可は、以下のいずれかに該当する場合は、許可されません。
1 取得農地を含むすべてを効率的に利用しない場合の取得制限
2 農地所有適格法人以外の法人の取得禁止
3 農作業に常時従事しない場合の取得制限
4 最低経営面積制限(※1)
5 転貸制限(農地の貸し付け)
6 周辺地域との関係
(※1)札幌市の場合は、「北区・東区・手稲区」が0.4ha、「それ以外の区」は0.3ha以上にならない場合
※北海道ホームページより抜粋
ただし、一般的な相続の場合は、農地の権利移動に関する手続きは不要です。
また、北海道農政部によれば、許可の基準を次のとおりとしています。
- 農地所有適格法人の権利取得に係る許可の場合は、「農地等の権利の取得後においてその耕作又は養畜の事業に供すべき農地等を正当な理由なく効率的に利用していないと認める場合は許可を取り消す」旨の条件が付きます。
- 解除条件付貸借の個人・法人への許可の場合は、「農地法施行規則第19条の規定により、毎年その農地等の利用状況を報告しなければならない」旨の条件が付き、適正に利用しない場合、最終的には許可を取り消されます。
※北海道農政部ページより抜粋
許可手続き
農地などの売買または賃借契約をしようとするときは、売主または貸主と買主または借主が連署したうえで、「農地法第3条第1項の規定による許可申請書」を農業委員会に提出しなければなりません。
必要書類
許可申請に必要な書類は次のとおりです。
- 農地法第3条第1項の規定による許可申請書
- 土地登記簿謄本
- 申請地の位置及び付近の状況を表示する位置図
- 地積測量図
- 印鑑(代理の場合)
- 登記簿謄本(全部事項証明書)※法人の場合
- 定款又は寄付行為の写し ※法人の場合
なお、申請に先立ち、札幌市内の農地の権利を得る場合は札幌市農業委員会に、札幌市外の農地の権利を得る場合は当該農地を管轄する農業委員会に対し忘れず事前相談を行いましょう。
農業経営基盤強化促進法とは
農業の全般的な活発化を目指す目的から、「農業経営基盤強化促進法」に基づく農地の積極的な活用が進められてきました。
(目的)
- この法律は、我が国農業が国民経済の発展と国民生活の安定に寄与していくためには、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担うような農業構造を確立することが重要であることにかんがみ、育成すべき効率的かつ安定的な農業経営の目標を明らかにするとともに、その目標に向けて農業経営の改善を計画的に進めようとする農業者に対する農用地の利用の集積、これらの農業者の経営管理の合理化その他の農業経営基盤の強化を促進するための措置を総合的に講ずることにより、農業の健全な発展に寄与することを目的とする。
※農業経営基盤強化促進法より抜粋
利用権設定等促進事業とは
市町村長が公告した「農用地利用集積計画」に基づき、市や農業委員会などが介入して、農業を行いたい人と農地を所有している人を結び付ける活動です。具体的には農地の貸借や売買がこれに当たります。
- 対象となる土地:原則として市街化調整区域にある農地
- 権利の種類:利用権(賃借権、使用貸借権等)及び所有権
- 貸借の期間:原則として3年以上
- 賃借料:貸主、借主双方の話し合いで決めます(賃借料情報を参考にしてください)。
- 借り手の要件:
- 中核農家、認定農業者、認定新規就農者、農地所有適格法人等であること
- 農地法上の3要件(借りた農地を効率的に利用すること、全てを耕作すること、借り手本人又は世帯員が農作業に常時従事すること)
- 買い手の要件:
- 認定農業者であること
- 資産保有目的の取得や農地の細分化を防止するため、借り手の農地法上の3要件のほか厳しい基準があります。
※札幌市農業委員会ページより抜粋
なお、当該農地の権利移動に関しては以下のような農地法特例措置に基づき、地域の農地利用調整を尊重しつつ農業経営基盤強化を促進することを目指しています。
- この事業により農用地の賃借権等の設定、所有権の移転が行われる場合には、農地法による許可は必要ありません。
- 農用地について設定され、又は移転された賃借権等については、期間が満了すると自動的に賃貸借関係が終了します。
※北海道農政部ページより抜粋
農地等の賃貸借の解約
農地等の賃貸借を辞めるときは、農業委員会を経由して北海道知事の許可を受ける必要があります。ただし、次の条件を満たす場合に限ります。
- 農地等を引き渡すこととなる期限前の6ヶ月以内に書面により合意が成立している場合
- 10年以上の定期賃貸借について更新しない旨の通知をした場合 など
※貸主・借主双方の合意を前提とする
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