学校法人化した場合、さまざまな規定をクリアする必要がありますが、その分法人としての信用度が高くなったり学校運営の幅を広げたりすることが可能になります。ここでは、学校法人化することによるメリットについて説明していきます。
学校法人化するメリットとは
法人化することにより、次に挙げるようなメリットを享受することができます。
税制優遇
学校法人は、その収益事業から生まれた所得について軽減税率が適用されますが、学校法人としての本来事業所得は非課税として扱われます。教育に関連して使用される不動産についても非課税対象となるため、税金面では大きなメリットを得ることが可能です。
なお、みなし寄附金という考え方があり、「収益事業から生じた所得を教育事業に浸かった場合は一定程度を損金処理できる」という点も特徴的でしょう。損金処理できるのは、所得の50%か200万円のどちらか高い方になります。学校法人として得た収益事業所得を教育事業に寄附したものとみなす、学校法人ならではの優遇制度だといえます。
補助金
学校法人に対する補助金の充実度はよく知られているところです。補助金を上手に活用することで、学校経営を安定的に維持する大きな支えとなるでしょう。
- 私立大学等経常費補助金:私立学校の教育状況の向上を図り経営の健全化を助ける
- 私立学校教育研究装置等施設整備費補助金:私立学校の教育研究機能や防災機能の強化を助ける
- 私立大学等研究設備整備費等補助金:私立学校の教育研究内容の強化や私立大学のブランディング事業などの強化を助ける
学校法人のM&Aによるメリットとは
近年、少子化の影響により学校の統廃合が進んでいます。特に私立学校については生徒の確保が大きな課題となっており、学校法人同士が合併することで困難を乗り切るケースも見られるようになりました。
複数の法人が合併したり一方が他方の法人を買収したりすることをM&Aといいますが、これを行うことにより、次に挙げるようなメリットを期待することができます。
知名度を獲得できる
知名度の高い学校法人とM&Aを進めることで、生徒確保に苦労していた学校法人はそのブランド力を手に入れることができます。知名度はそのままブランド力を示しますから、生徒確保の問題解決が見えてくるかもしれません。
教育環境が充実する
2つの学校法人が合併し1つになるということは、双方の教員や生徒が1つの校舎に集うことを意味します。同時に、双方の学校法人が力を入れてきた学習指導環境がより充実するため、結果としてより質の高い教育を提供できるようになると考えられます。また、経営基盤も盤石になるため、長期的かつ安定的な学校経営が見えてくるでしょう。
学校法人としての経営維持が可能になる
私立学校はそれぞれの学校法人の企業努力により運営されるものですが、先に述べたとおり少子化などの影響を受けやすく、経営状況が左右されやすい点があるのも事実です。M&Aを行うことにより、教育現場の混乱を回避しながら、生徒や教員の安定的移行および学校法人が力を注いできた教育環境の継承も期待できるでしょう。
まとめ
学校法人は教育という重要かつ社会性の高い事業を扱いますから、その設立には厳しい審査が課せられます。ただし、条件さえきちんと整えば、税制優遇や補助金などの支援といったメリットを受けることができるので、健全経営を継続していけるよう努める必要があります。盤石な経営を目指すためにも、学校法人設立に際しては専門家によるサポートを受けることが大切です。
一方、万が一学校経営に困難が訪れた場合は、M&Aという方法を活用することで、積み重ねてきた教育環境を維持したり学校運営が改善されたりしますので、やはり専門家に相談し解決策を探ることをおすすめします。
当事務所では無料相談をご用意しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。ご依頼に際しては提携する司法書士や税理士と協力しながら業務を進めていきますので、トータルサポートが可能です。