学校の一般的呼称は、小学校、中学校、高校、大学といいますが、名称のあたまに学校法人という言葉がつくことがあります。ここでは、学校法人とはどういうものなのかわかりやすく説明していきます。
学校法人とは何か
一般的に学校といえば、幼稚園から大学にいたるまでの各種教育機関のことを指しますが、なかには学校法人という言葉を冠につけているところがあります。法人という呼称から会社のような印象を受けますが、実は学校の設立や運営を目的とした公益法人の1つなのです。
学校法人の所轄庁
市立学校や都道府県立学校は地方自治体が、国立学校は国が設置する教育機関ですが、民間でも学校を立ち上げることができます。それが学校法人であり、教育の在り方についても公立学校にはない工夫を行うなどして、それぞれ特徴を持たせている点が見受けられるのです。
所轄庁について、公立・国立学校に関する権限は文部科学省と都道府県知事が持ちます。学校法人に関しても文部科学省が所轄庁になりますが、その権限は所轄庁よりも学校法人による私立学校の方が大きいといえるでしょう。私立学校法でも以下のように定められていることから、学校法人に委ねられた裁量は決して小さくないことがわかります。
都道府県知事は、私立大学及び私立高等専門学校以外の私立学校について、第五条第一項各号に掲げる事項を行う場合においては、あらかじめ、私立学校審議会の意見を聴かなければならない。
※文部科学省資料参照
ただし、教育機関である以上、学校法人も所轄庁の方針にしたがって学校運営を行う必要があることは言うまでもありません。
準学校法人
学校教育法では、学校を以下のように定義しています。
第一条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。
第二条 学校は、国(国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人及び独立行政法人国立高等専門学校機構を含む。
※e-Govより抜粋
同法の第一条で学校が定義されていることから、これらの教育機関を一条校とよんで他の各種学校と区別しているのです。他の各種学校に属するものとしては、専修学校のほか自動車学校や服飾学校、美容学校などを挙げることができ、これらは準学校法人と呼ばれています。「準」と付くものの、設立や運営などの仕組みについては学校法人と同じです。
学校法人は特徴を持つ
学校法人が運営する私立学校はその教育や学校活動において、公立学校とは異なる取り組みや工夫をしているところが数多くあります。また、私立学校に対しては自治体や国からの支援がある点も、公立学校とは一線を画す点になるでしょう。ここでは、学校法人の特徴について説明していきます。
柔軟な教育環境
学校法人が運営する私立学校は、私立学校法により守られており、所轄庁である文部科学省の権限を限定し私立学校の裁量を認めています。つまり、公立学校に比べると私立学校には自主性や創意工夫が求められており、自由で柔軟な学習環境を実現しやすくなっているのです。
税制優遇
公益性の高い学校法人には、税制上の優遇措置が認められています。たとえば、学校法人はその収益事業から生まれた収益に対してのみ所得税が課税されたり、大幅な減税が認められていたりするのです。また、以下について非課税となる点も学校法人の大きな特徴だといえるでしょう。
- 地方税
- 住民税
- 事業税
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 固定資産税 など
補助金
学校法人の活動を支えることを目的として、いくつかの補助金が用意されています。
【私立大学等経常費補助金】
幼稚園から大学まで私立学校の教育環境の向上を支える
【私立学校教育研究装置等施設整備費補助金】
教育環境・研究環境の充実などを支える
【私立大学等研究設備整備費等補助金】
研究およびIT関連設備の充実などを支える
これら補助金により私立学校の経営安定化が望まれ、その教育の質向上も期待されています。
まとめ
学校法人の設立を検討している場合、まずは法改正の状況について注意深く観察し現状を把握する必要があります。当事務所では、法律面でのサポートはもちろんのこと、設立業務全般にわたりご相談・ご依頼を承っております。必要に応じて司法書士や税理士などと協力し、全面的にバックアップしていきますので、まずは無料相談でイメージに輪郭を付けていきましょう。