会社を設立する際、一般的には現金で出資金を用意しますが、「現物出資」という出資方法もあります。ここでは、合同会社における現物出資のメリットや対象物について説明していきます。
現物出資のメリットとデメリット
一般的に出資といえば金銭を対象としますが、実は現物をもって出資することも可能なのです。ただし、現物出資ができるのは発起人のみとなりますので注意しましょう。
現物出資のメリット
現物出資のメリットについて説明していきます。
資本金額を増やしやすい
資本金額の大きな会社ほど信用力があると判断される傾向にあり、これは合同会社の場合も当てはまります。現在の仕組みでは1円からでも会社を設立することはできますが、対外的な信用度・現実的な運営費を考慮すると、やはり相応の金額を資本金として用意することが求められるでしょう。一般的に資本金の原資は出資金ですが、現物出資によりさらに体力をつけることができる点は大きなメリットだといえます。
金額により節税効果が期待できる
現物出資した物品が1つにつき10万円以上のものであれば、減価償却資産として扱うことができます。減価償却資産の金額は減価償却費として経費扱いにすることができますので、結果として節税への貢献が期待できるのです。
手持ちの資金が不足していても発起人になることができる
手元に出資するだけの十分な資金がなくても、現物出資することで発起人になることができます。発起人になることができれば会社の設立に関わることが可能になるので、現物出資を上手に活用してみましょう。
現物出資のデメリット
金銭による出資ではない分、現物出資することによるデメリットも考えられます。
手続が複雑になりやすい
現物出資を行った場合、まず出資する物品の時価調査を行わなければなりません。価値がわかったら定款に記載し、続いて調査報告書と財産引継書を作成する必要があります。金銭での出資に比べて手続きが煩雑になる点はデメリットだといえるでしょう。
資本金額と金銭出資額との間にギャップが生じる
現物出資を行って資本金額を大きくしたとしても、実際にその額の金銭があるわけではないため、状況によっては会社の運営に影響を及ぼすことになる可能性もあります。十分な金銭出資があることを確認したうえで、補足的に現物出資を行う方がリスクは小さいかもしれません。
現物出資の対象となる資産
現物出資する物品はなんでもいいというわけではなく、一定以上の価値を持つ資産が対象になります。
【現物出資の対象となる物品】
- 動産(車、パソコン、各種商品、原材料など)
- 不動産(土地、建物など)
- 有価証券(市場価値があるもの)
- 無形固定資産(特許権、商標権など)
物品が10万円の価値を持つかどうかをひとつの目安にするのもいいでしょう。また、現物出資した物品は、現在の所有者から会社に所有権を移転する登記手続きを行う必要があります。
一方、以下に挙げるものは所有権が定まっていなかったり実態がなかったりするため、現物出資の対象とはなりません。
【現物出資の対象外となるもの】
- ローン返済中(未完済)の物品
- 労働力やアイデアなど無形のもの など
まとめ
現物出資は非常に便利な仕組みですが、設立後の会社運営を考えれば、まずは十分な出資金を確保することが優先されます。そのうえで現物出資により資本金額を大きくし、高い信用力を付けていくといいかもしれません。
現物出資の考え方や利用の仕方、各種手続きに関しては迷うことが多いことでしょう。そのような場合は、当事務所の無料相談をご利用ください。会社設立業務受任の経験から、専門的な立場でご相談者様への助言やご依頼者様への対応をさせていただきます。