株式会社に比べると、設立に必要な費用を抑えやすく人気の合同会社ですが、会社の成長とともに株式会社への変更を悩むことがあるかもしれません。ここでは、合同会社から株式会社に変更する手続きの流れについて説明していきます。
株式会社への変更手続き
合同会社から株式会社に変更するためには、決められた手続きを行う必要があります。必要な事柄について確認していきましょう。
組織変更計画の作成
後に登記申請が必要になるため、まずは組織変更計画書を作成します。記載が必要な事柄は以下の通りです。
- 事業内容:株式会社への変更にあたり事業内容を変えることが可能
- 商号:「合同会社」の部分を「株式会社」に変更するが、商号をあらためることも可能
- 本店所在地:会社の所在住所を記載
- 発行株式総数:1株あたりの価格を設定し発行可能な株式総数を決定
- 定款:その他定める事柄があれば別紙に記載
- 取締役氏名:監査役や会計参与などを設置する場合はその役員の氏名も記載
- 株式会社に変更した後の発行株式数:合同会社から変更した後の株式数と社員への割当を記載
- 効力発生日:手続き完了日を記載
すべての社員からの同意
合同会社の社員は出資者であるため、組織変更計画書を作成したらすべての社員から同意を得なければなりません。
債権者への催告と官報掲載など
合同会社が株式会社に変更する場合、債権者にも影響を及ぼすことも考えられます。そこで債権者に対し異議があれば申し立てるよう促すのです。催告方法は官報への公告掲載や個別の債権者に対する通知送付となります。
効力発生
債権者への催告を行った後、1ヶ月以内に債権者から異議申し立てがなければ、あらかじめ組織変更計画書に記載した効力発生日に株式会社へ変更となります。
株式会社への変更登記
組織変更の効力が発生したら、必要書類を揃えて組織変更の登記を申請します。会社の本店所在地が札幌の場合は札幌法務局に必要書類を提出し、手続きを完了させましょう。
【必要書類】
- 定款
- 組織変更計画書
- 組織変更計画に関する総社員の同意書
- 代表取締役の選定に関する書面
- 取締役、代表取締役及び監査役の就任承諾書
- 本人確認証明書
- 公告及び催告をしたことを証する書面
- 資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書
- 面
※ほか必要に応じて追加書類あり
※法務省ホームページ参照
合同会社から株式会社への変更費用
合同会社から株式会社に変更する際、主に官報公告への掲載費用と法務局への登記費用がかかります。
官報公告掲載費
掲載する広告内容や発行部数、広告の種類により料金は変わります。たとえば枠公告の場合、1枠あたり37,165円からとなっています(令和5年1月現在)。
登録免許税
合同会社の解散にあたり、解散登記費用として30,000円がかかります。また、株式会社設立登記費用として、30,000円または原則として資本金額の1,000分の1.5のどちらか大きい金額がかかります。(法務局参照)
まとめ
合同会社は株式会社に比べて制約や費用負担が小さく、特に中小規模の会社を設立するにはメリットが大きいとされています。しかし、事業を営むうち徐々に業績が上がってきたら、株式会社に変更することを検討してみるのもいいでしょう。株式会社は合同会社に比べると信用度が高い傾向にあり、今後の取り引きや融資などで有利に働く可能性も出てきます。
合同会社から株式会社に変更するためには、さまざまな手続きが必要になります。ただし、法律知識などが必要になり、手続きにも難しさを感じことも考えられます。当事務所では、司法書士などと協力体制を持ちながら業務遂行しておりますので、ぜひ無料相談をご利用いただき、会社形態の変更をスムーズに進めましょう。