合同会社は株式会社と異なり、出資者が経営権を持つ持分会社です。出資者は社員とよばれますが、さらに代表社員や業務執行社員といった役割を担うことで、会社としての形態を維持します。ここでは、合同会社の社員・代表社員・業務執行社員の違いについて説明していきます。
合同会社の社員とは
合同会社は、社員・代表社員・業務執行社員で構成される組織で、それぞれ異なる職責が与えられています。
社員
合同会社では出資者を社員とよび、社員は経営権を持っています。株式会社における社員とは性質が異なりますので注意しましょう。社員とは別に従業員を雇っている場合、従業員は出資の必要がなく経営権も持ちません。
業務執行社員
合同会社では出資者と社員が同じ人物であり、社員はすべて経営権を持ちます。しかし、必ずしもすべての社員が経営に携わるわけではなく、指定された社員が業務執行社員として経営に集中し、残る社員は事業活動にいそしむという形をとって会社を動かしているのです。
業務執行社員は定款で定めることができるので、会社設立時点で役割分担を決め、経営中枢を担う権利を与えておきます。
代表社員
合同会社の社員は等しく経営権を持っていますが、会社の事業方針を決定するにあたり、どの社員の主張を採用すればいいかという問題に遭遇します。特に、社員が複数いて、事業方針に賛成する者と反対する者がいたような場合は、会社としての方針を決めることができなくなり混乱に陥りかねません。
そこで、社員のなかから代表社員を選ぶ仕組みが設けられました。法務省ホームページを参照してみると、登記時点で代表社員を決定しておく必要があるとわかります。
第4-3 登記すべき事項 合同会社の設立の登記においては、主に次に掲げる事項を登記しなければなりません(会社法第914条)。
(1) 目的
(2) 商号
(3) 本店及び支店の所在場所
(4) 合同会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
(5) 資本金の額
(6) 業務執行社員の氏名又は名称
(7) 代表社員の氏名又は名称及び住所
(8) 代表社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所
(9) 公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め 等
※法務省ホームページより抜粋
会社設立登記を行う時点で、業務執行社員だけではなく代表社員も決定しておくのです。代表社員は、社員の集まりである合同会社のなかでも決定権を持つ人物ですので、株式会社における社長と同様の役割も果たすことになります。
合同会社の社員・代表社員・業務執行社員の違い
前述したとおり、合同会社ではすべての社員が経営権を持ちますが、定款で定めることにより業務執行社員が経営の中枢を担い、代表社員が代表権を持つことになります。具体的には以下のような違いが生まれます。
社員と業務執行社員
定款で業務執行社員を定めた場合、社員は経営に携わらない業務を行い、業務執行社員は経営に携わることになります。定款で定めることにより、行執行社員が業務執行権を持つためです。
業務執行社員と代表社員
業務執行社員と代表社員の最大の違いは、代表権を有しているかどうかという点にあります。定款で定められた業務執行社員は業務執行権を持ちますが、代表社員が別にいる場合は代表権を持ちません。代表権を持つのは代表社員のみとなるため、役割分担が明確になるのです。
役割の違いをわかりやすく整理
社員・業務執行社員・代表社員の違いをわかりやすく整理すると、以下のようになります。
【社員】
出資者・経営者・代表者としての権利を持つ。
ただし、定款で業務執行社員を定めている場合は役割が分かれます。
【業務執行社員】
経営者・代表者としての権利を持つ。
社員が出資者である点は変わりませんが、業務執行社員が経営権を持つことになります。さらに、定款で代表社員も別途決定している場合は、代表権がさらに独立します。
【代表社員】
代表者としての権利を持つ。
株式会社における代表取締役社長と同等の立場になるのです。
まとめ
株式会社の仕組みに慣れていると、合同会社の役割分担を理解しにくいところがあるかもしれません。誰が出資者で、誰が経営権を持ち、誰が代表者なのかは定款に左右されるため、合同会社の在り方は株式会社に比べると自由度が高いともいえます。
これから合同会社を立ち上げようと考えている方は、会社法と照らし合わせながら合同会社の仕組みをまず理解しなければなりません。正しく情報を整理し、会社設立までの道筋を明確にするためにも、ぜひ当事務所の無料相談をご利用ください。