株式会社を立ち上げる際、定款作成や登記などいろいろな作業・手続きが必要になります。いざ準備段階となったときに慌てないよう、必要な事柄はあらかじめ準備しておきましょう。ここでは、株式会社を設立するまでに決めることについて説明していきます。
会社設立までに決めておくこと
株式会社の設立手続きは多岐にわたりますので、あらかじめ以下の事柄について決めておきましょう。
商号を決める
商号とは会社の名称を指しており、「株式会社〇〇」の「〇〇」の部分をいいます。会社名は必ず「株式会社」という文言と商号を合わせたものとし、他社と誤認される文字を入れない、というルールがあります。また、平成14年の法改正により、ローマ字や記号、数字について以下のように変更がありましたので確認しておきましょう。
1 商号の登記に用いることができる符号
(1)ローマ字(大文字及び小文字)
(2)アラビヤ数字
(3) 「&」(アンパサンド)
「’」(アポストロフィー)
「,」(コンマ)
「‐ 」(ハイフン)
「.」(ピリオド)
「・」(中点)※(3)の符号は、字句(日本文字を含む。)を区切る際の符号として使用する場合に限り用いることができます。したがって、商号の先頭又は末尾に用いることはできません。ただし、「.」(ピリオド)については、省略を表すものとして商号の末尾に用いることもできます。
※なお、ローマ字を用いて複数の単語を表記する場合に限り、当該単語の間を区切るために空白(スペース)を用いることもできます。
※法務省ホームページより抜粋
発起人を決める
会社は、発起人により立ち上げられさまざまな手続きを行って設立にいたります。したがって、商号を決める段階で発起人も決定している状態が望ましいといえます。
会社の本店所在地を決める
会社の所在住所が本店所在地となります。自宅を事業所として開業する場合は自宅が本店所在地です。
事業目的を決める
定款には会社の事業目的を必ず記載しなければなりません。会社としてどのような活動を行っていくか、設立構想段階から徐々に明確化し、設立段階では定款に記載できる状態にしておきましょう。明確性・適法性・営利性の3つが揃っていることが条件です。
資本金額を決める
会社法に基づけば、1円からでも株式会社を立ち上げることができます。ただし、極端に少ない資本金額では事業開始時点の資金繰りに安定性を持たせることが難しいため、ある程度まとまった額を資本金額とするようにしましょう。1ヵ月あたりの必要額×3カ月~半年分程度を目安にすることをおすすめします。
発行可能株式総数を決める
1株あたりの金額を設定し、かつ将来的に何株まで発行可能とするか総数を決めておく必要があります。慣習にしたがって会社設立時発行株式数の4倍とするか、もしくは会社の成長を見込んで10倍くらいに設定することが多いようです。
会社の機関設計を決める
機関設計とは、会社法により定められた「株式会社を構成する機関」のことをいい、具体的には以下が挙げられます。
- 株主総会
- 取締役
- 取締役会
- 監査役
- 監査役会
- 会計監査人
- 会計参与
- 委員会
- 執行役
これらの機関のうち、必要な機能を会社に持たせていくことになります。たとえば小規模な株式会社であれば、「株主総会・取締役」「株主総会・取締役・監査役」といった組み合わせで機関を置くケースがみられます。
設立日を決める
法務局へ登記手続きを行った日が会社設立日となります。会社として大切な日にちがある場合は、その日を設立日とし、諸手続きにかかる期間を逆算して準備していきましょう。
事業年度を決める
一般的に、事業年度を1年間としていることがほとんどです。年度初めと年度終わりの日にちについては会社が自由に決定することができますが、「1月1日から12月31日」か「4月1日から3月31日」のいずれかを事業年度とすることが多いようです。
まとめ
株式会社を設立するためには、あらかじめさまざまな事柄を決めておかなくてはなりません。何をどのような順番で決めていくべきか、具体的にどのような手続きが必要になるかなど、事前にしっかりと調べ、法律に則った形で会社を設立できるよう準備を進めていきましょう。
当事務所では、会社設立業務のご相談・ご依頼を承っていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。専門家の助言により、会社設立業務までの道のりが明確に整理されるでしょう。