株式会社は、株式の性質によって2種類に分けることができます。1つは株式譲渡が可能な公開会社、もう1つはすべての株式について譲渡制限がある非公開会社です。ここでは、公開会社と非公開会社の違いについて説明していきます。
公開会社と非公開会社の定義
会社法第2号第5号によれば、公開会社とは以下のものを指しています。
五 公開会社 その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。
※e-Govより抜粋
株式の譲渡制限について定款で定めていない会社を公開会社とよびます。たとえば上場会社の場合、譲渡制限がないため株式市場で株の自由な売買が可能になりますが、これも公開会社だからこその特徴であるといえるのです。
一方、株式の譲渡制限をかけている会社を非公開会社といいます。当該会社の株式は市場で取引することができない点が特徴的です。
公開会社と非公開会社の違い
会社法に基づく公開会社と非公開会社の違いについてみてみましょう。
公開会社
【取締役会】設置が必須
【監査】設置が必須
【発行可能な株式総数】発行済み株式数の4倍が上限
【株主総会の招集】原則として2週間前までに通知
【株式発行の決議】株主総会により決定
取締役会など機関の設置や株式に関する制限などが設けられている点が特徴的です。一見すると窮屈なように思えますが、「市場で取引できる会社」というだけでも会社の信用度に貢献する傾向があります。また、その信用度を武器に大きな取引を獲得しやすかったり融資を受けやすかったりする点も魅力的です。
非公開会社
【取締役会】1名でも可
【監査】取締役会を置く場合に限り設置
【発行可能な株式総数】制限なし
【株主総会の招集】原則として1週間前までに通知
【株式発行の決議】取締役会により決定
公開会社に比べて信用度や取引規模の大きさなどで差がつくものの、非公開会社は機関設置や株式の取り扱いについて自由度が高いといえます。
非公開会社から公開会社になるには
会社の今後の発展を目指し公開会社となるためには、いくつかの条件を備える必要があります。まずは、株主総会の特別決議を経て「株式の譲渡制限廃止」に関する定款変更を行わなければなりません。このほか、以下の事柄についても定款変更が必要になります。
先に述べた公開会社の条件を満たすことはもちろんとして、
【取締役会】設置が必須
【監査】設置が必須
【発行可能な株式総数】発行済み株式数の4倍が上限
【株主総会の招集】原則として2週間前までに通知
取締役の設置や任期、監査役の設置や任期などについても定めておかなければなりません。定款で変更すべき事柄は多岐にわたるため、専門家の助言を得ながら正しく手続きを進めるといいでしょう。
登記申請
定款を変更しその効力が発生したら、2週間以内に登記申請を行います。定款や株主総会議事録、役員の就任承諾書などいくつかの書類が必要になるので、事前によく確認しておくことが大切です。
まとめ
公開会社と非公開会社にはそれぞれ特徴がありますので、会社としてどのように成長していきたいかを十分に考えて形態を決める必要があります。そのためには、会社設立段階ですでに将来を見越した機関設計をしておくことが大切ですので、まずは当事務所までご相談ください。たとえば、いずれは大きな取引も行いたいといった場合、設立当初は非公開会社としておき、徐々に会社としての体力がついてきたころに公開会社へと移行する方法もあります。
当事務所では、司法書士や税理士など各専門分野のエキスパートと協力しながら業務を進めており、会社設立をトータルでサポートしています。ぜひ無料相談をご利用いただき、会社の方向性についてお聞かせください。