株式会社に取締役会を設置するメリットとデメリット | 札幌の会社設立と許認可取得センター

株式会社に取締役会を設置するメリットとデメリット

会社法では、各種会社において法律および定款による仕組み作りを認めています。一方、取締役会の設置については任意としており、その判断は会社に委ねられているのです。ここでは、株式会社に取締役会を設置するメリットとデメリットについて説明していきます

 

取締役会の定義と権限

取締役会とは会社における意思決定機関であり、会社の業務執行に関する決定や業務の監督などを担っています。なお、取締役会は、株主総会で選ばれた3名以上の取締役により構成されます。

 

2006年施行の会社法で以下のように記載されていることから、取締役会の設置が義務ではなく任意であることがわかるでしょう。

 

(株主総会以外の機関の設置)

第三百二十六条 株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。

2 株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会又は指名委員会等を置くことができる。

e-Gov「会社法」より抜粋

 

ただし、第327条「取締役会等の設置義務等」によれば、公開会社(上場企業)・監査役会設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社は取締役会を設置することと定められています

 

上場企業など取締役会設置義務を負う会社を除き、取締役会を設置した場合は、会社が行う業務にまつわる事柄を取締役会で決定することになるので覚えておきましょう。なお、取締役会に属する取締役のなかから代表取締役が選ばれます。

 

取締役会が持つ権限

取締役会を設置したら、以後少なくとも3カ月に1回は取締役会を開催しなければなりません。つまり1年を通して最低4回以上の取締役会開催が求められるのです。

 

また、会社における決議事項のうち、以下のものについては必ず取締役会が関与します。会社法第362条の4「取締役会の権限等」を確認してみましょう。

 

4 取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。

一 重要な財産の処分及び譲受け

二 多額の借財

三 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任

四 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止

五 第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項

六 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

七 第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除

※e-Gov「会社法」より抜粋

 

取締役会を設置するメリットとデメリット

会社にとって重要な役目を負う取締役会ですが、主に上場企業を除けばその設置は任意とされています。そこで、取締役会を設置するメリットとデメリットについて説明します。

 

取締役会を設置するメリット

取締役会を設置した会社は、設置以後の業務執行に関する決定を取締役会で行います。毎回、株主総会にはかる必要がなくなるため、業務をスピーディーに進められるようになるでしょう。

 

また、取締役会を設置している会社と設置していない会社では、設置している会社の方が信用度は高くなる傾向にあるため、さまざまな取引を行ううえでメリットを享受できることが考えられます。

 

取締役会を設置するデメリット

取締役会の最低人員は取締役(3名以上)・監査役(1名以上)ですので、人数が多いほど役員報酬がかかることになる点はデメリットとして数えられるでしょう。また、取締役会がある場合は取締役会の決議に基づき会社経営が行われますので、その迅速さはメリットになりますが、株主総会の立場から見ると権限が取締役会に移る点でデメリットと考えることもできます。

 

取締役会非設置会社から取締役会設置会社への変更

もともと取締役会非設置会社として設立し業務を遂行していたが、会社をより成長させたいと考え、取締役会設置会社への変更を検討するケースがたびたびあるようです。

 

 

札幌司法書士会によれば、定款変更を行い、役員を選任して条件を満たせば、取締役会設置会社に変えることは可能であるとしています。変更を行った場合、登記事項も修正しなければなりませんので、法務局に対する変更登記申請も合わせて行う必要があります

 

まとめ

会社の今後を考えたとき、たとえば上場を目指すのであれば取締役会を設置しなければなりませんし、小規模経営で十分と考えるのであれば取締役は非設置で問題ないことになります。

 

会社を設立する際、また定款変更を行う際、どのような将来像を目指すかによって会社の構成要素は変わってきます。まずは当事務所の無料相談をご利用いただき、イメージを具体化させていきましょう。なお、登記に関しては連携する司法書士の協力のもとに業務遂行していますので、取締役会設置あるいは非設置など変更の可能性がある場合も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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