国および地方自治体では、農業従事者に対する支援制度を強化しています。ここでは、認定農業者の対象と支援内容について説明していきます。
認定農業者の対象者と基準
農業従事者に対する支援強化を図る目的から、認定農業者という制度が設けられています。農林水産省ホームページによれば、制度について次のように述べられています。
認定農業者制度は、農業者が市町村の農業経営基盤強化促進基本構想に示された農業経営の目標に向けて、自らの創意工夫に基づき、経営の改善を進めようとする計画を市町村等が認定(複数市町村で農業を営む農業者が経営改善計画の認定を申請する場合は、営農区域に応じて都道府県又は国が認定)し、これらの認定を受けた農業者に対して重点的に支援措置を講じようとするものです。
※農林水産省ホームページより抜粋
なお、北海道ホームページでは、認定農業者の対象者と基準を明確に定めていますのであらかじめ確認しておきましょう。
対象者
農業従事に対する意欲を持つ者であれば、個人・法人を問わず対象者となる。
- 性別を問わず
- 農業への専業または兼業を問わず
- 経営規模を問わず
- 営農類型を問わず
- 組織形態を問わず
※北海道ホームページ参照
認定基準
農業経営の目標を示す農業経営改善計画が認定されるためには、次の条件を満たす必要がある。
- 各市町村が掲げる基本的な構想に対して適切な計画であること
- 効率的で総合的な農地利用を目指すうえで適切な計画であること
- 計画の内容について実現の見込みがあること
※北海道ホームページ参照
認定農業者になるための手続
北海道において認定農業者になるためには、次の手順で手続きを済ませる必要があります。計画の申請は営農の形によって変わり、1つの市町村内のみで営農する場合は市町村長が、道内複数市町村にまたがって営農する場合は北海道知事が、道内および道外にまたがって営農する場合は農林水産大臣がそれぞれ申請先となるので注意しましょう。
【申請手続き】
- 農業経営改善計画の作成
- 市町村等(該当する申請先)へ申請
- 市町村等による計画の認定
- 計画に基づいて経営を改善
- 有効期間満了前に新計画の作成
※北海道ホームページより抜粋
なお、農林水産大臣を申請先とする場合の提出先は、令和5年4月1日以降は地方農政局となります。北海道の場合は農政事務所が提出先です。
認定農業者への支援内容
認定農業者になると、次に挙げるような支援を受けることができるようになります。
農地の集積
農業従事者の高齢化や耕作放棄地の解消を目的として、認定農業者に対する農地斡旋が優先的に行われます。根拠法は農業経営基盤強化促進法です。
低金利融資
認定農業者は低金利の融資を受けることが可能です。代表的なものとして、北海道認定就農者総合融資制度やスーパーL資金およびスーパーS資金があります。
【北海道認定就農者総合融資制度】
- 青年等就農資金
- 農業近代化資金
- 経営体育成強化資金
【スーパーL(農業経営基盤強化金)】
- 農地取得や農地改良、設備機械などの取得や改良を使途とした資金
【スーパーS(農業経営改善促進資金)】
- 種苗代や肥料代、飼料代や雇用労賃などの直接的現金のほか、営農用施設や機械の修繕費、地代や施設機械のリース費用、営農用備品などの購入費
年金保険料補助
独立行政法人農業者年金基金によれば、要件を満たす農業従事者について、月額年金保険料20,000円のうち10,000円から4,000円の国庫補助を受けることができるとしています。
※独立行政法人農業者年金基金ホームページ参照
国庫補助を受けるための要件は次のとおりです。
1. 60歳までに保険料納付期間等が20年以上見込まれる(つまり39歳までに加入すること)
2. 農業所得(配偶者、後継者の場合は支払いを受けた給料等)が900万円以下
3. 認定農業者で青色申告者など、次の「保険料の国庫補助対象者と補助額」の表の必要な要件のいずれかに該当する
※独立行政法人農業者年金基金より抜粋
これにより、たとえば「青色申告をしている35歳以上の認定農業者」の場合、国庫から4,000円の補助を得ることができます。本人が35歳未満のときの国庫補助額は10,000円です。
まとめ
農業に従事するのであれば、認定農業者になった方がメリットは大きいとされています。5年ごとに農業経営改善計画書を作成・提出する義務を課せられますが、大きな支援を受けられるのであれば検討に値するかもしれません。
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