農業の事業承継の種類と承継内容 | 札幌の会社設立と許認可取得センター | 行政書士千田大輔行政法務事務所

農業の事業承継の種類と承継内容

農業従事者の高齢化により、事業承継を検討する人が増加傾向にあるといわれています。ここでは、農業の事業承継の種類と承継内容について説明していきます

 

農業の事業承継の種類

農林水産省が公開している調査データ「農業労働力に関する統計」によれば、年を追うごとに農業従事者の平均年齢が上がっていることがわかります。平成29年には平均66.6歳だったものが令和4年では68.4歳にまで伸びているのです。

 

後継者問題を解決するための策として事業承継という手段がありますが、農業においては次の3種類の方法から選択することになるでしょう。

 

親族内承継

親族内承継は、文字通り農業従事者の親族に事業を継いでもらう方法です。対象となる親族の例として以下を挙げることができます。

  • 子供
  • 兄弟姉妹の子供
  • 婿 など

農業従事者の親族という安心感から社内および取引先との馴染みもよく、承継後の事業も比較的スムーズに進みやすいことが予想されます。また、事業承継するのが親族であれば、農業がどういうものか理解したうえで事業を引き継いでもらえる点も利点だといえるでしょう。

 

親族外承継

親族外承継は、親族以外のさまざまな立場の人を対象として事業を継いでもらう方法です。対象者の例として以下を挙げることができます。

  • 役員
  • 従業員
  • 会社設立にかかわった他の人物 など

親族から後継者を選ぶことが第一選択肢となりそうですが、もし親族が農業法人を継いでくれなかったとしても、法人にかかわる人物から人選を行うこともできるのです。

 

M&A(合併買収)

親族外承継には、農業法人の関係者ではない第三者に事業承継するパターンも存在します。法人同士による合併買収がこれにあたり、一般的にM&Aと呼ばれています。身内や法人内に後継者が見つからなかった場合、他の法人と合併する形にはなりますが、M&Aの仕組みを活用することで農業法人自体は後世に残していくことができるでしょう。

 

長く携わった事業だからこそ、廃業はしのびないものです。合併買収することで事業は存続しますし、売却益を得ることもできます。

 

農業における事業承継の対象

農業の事業承継を行う場合、大きく分けて3種類の財産が引き継がれます

  • 事業の承継:親族内承継、親族外承継、M&A
  • 財産の承継:資金や事業のための動植物、施設機械
  • 無形財産の承継:ノウハウなど

 

事業の承継

事業の承継とはすなわち後継者に運営そのものを引き継いでもらうことを指しています。親族内承継・親族外承継・M&Aとった方法を活用し、これまで培ってきた農業法人としての事業を存続させるのです。

 

農業は自然を相手に、人が力を合わせて営む事業です。だからこそ信頼できる後継者に託すことが重要ですし、農業ノウハウを活かしていける環境を引き継いでもらうことも大切だといえます。

 

財産の承継

財産の承継とは、農業経営を目的とした法人の資金や有形財産を引き継いでもらうことを指しています。たとえば次に挙げる財産が承継の対象となります。

  • 運転資金
  • 借入金
  • 農地
  • 施設・機械
  • 産業動物や植物 など

農業では個人の財産と法人の財産の区別が曖昧になることも少なくないため、個人財産と事業用財産を明確に分けて管理し事業承継に臨む必要があります。

 

無形財産の承継

無形財産の承継とは、農業経営に関するノウハウや法人の経営理念、信用力や製品のブランド力といった「目に見えないが大きな価値を伴うもの」を引き継いでもらうことを指しています。

 

先に述べた通り、農業は自然を相手に営む事業であり、また生産活動や販売ルートには多くの人との信頼関係がベースになるため、無形財産がいかに重要なものかがわかります。事業承継にあたっては、大切な無形財産を正しく後継者に伝えることができるよう、情報を整理し時間をかけてしっかりと承継していくことが大切です。

 

まとめ

農業法人の事業承継には3つの方法があり、それぞれ対象となる財産や承継に際し注意すべき点があることがわかりました。

 

実際に事業承継を行う場合、法による定めを正しく理解したうえで間違いなく手続きを進めていかなければなりません。専門家への相談も視野に入れ、スムーズに事業承継できるよう検討してみましょう。

 

当事務所でも無料相談をご用意していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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