農業法人として農地を所有している場合、いずれは農地を異なる目的で活用したいと考えることも出てくるでしょう。そのようなときは所轄庁から許可を得なければなりません。ここでは、農地転用の許可について説明していきます。
農地転用の許可取得について
農地として活用してきた土地を、異なる用途で使いたいと考えることがあるかもしれません。
- 宅地としての開発
- 工場用地としての開発
- 異なる目的として使用されることを前提とした農地売買 など
このようなケースでは、あらかじめ北海道知事からの許可を得る必要があります。
北海道における農地転用許可制度
農地転用許可は原則として北海道知事からの許可を要しますが、以下に該当する場合は市町村にも知事と同様の権限が認められています。
- 一定の要件を満たす場合は大臣指定の指定市町村となることができる
農用地区域内において開発行為(宅地の造成、土石の採取、建築物の新築増築等)をする場合には、原則として都道府県知事又は指定市町村の長の許可が必要となります。
指定市町村とは、農業振興地域の整備に関する法律に基づく開発許可制度を適正に運用し、優良農地を確保する目標を立てるなどの要件を満たしているものとして、農林水産大臣が指定する市町村のことをいいます。指定市町村の長は、開発許可制度において、都道府県知事と同様の権限を有することとされています。
※農林水産省ホームページより抜粋
- 4ha以下の農地に関しては、道条例により希望市町村に対して権限が移譲される
上記1、2に該当する場合、1の指定市町村であれば指定市町村長または農業委員会が、2の道条例に当てはまる場合は市町村長または農業委員会が許可申請先となります。許可なく農地を異なる用途に転用したり売買したりすると罰せられる可能性も出てきますし、結果として農地の所有権移転登記もできなくなる恐れがありますので、十分に注意しましょう。
農地転用許可の申請について
農地転用許可申請について、求められる条件や許可申請の流れなどを確認しておきましょう。
農地転用に際し求められる条件
根拠法は農地法となり、第4条または第5条に該当することを確認しなければなりません。
【農地法第4条】
- 自ら所有する農地の転用に際し許可が必要
- 転用しようとする農地所有者が許可申請者
- 許可権限を有するのは北海道知事または指定市町村または道条例の条件に該当する市町村
【農地法第5条】
- 農地所有者と農地転用事業者の間で売買が行われる場合は許可が必要
- 売人(貸人)である農地所有者と買人(借人)である農地転用事業者が許可申請者
- 許可権限を有するのは北海道知事または指定市町村または道条例の条件に該当する市町村
農地転用許可申請の流れ
農地を転用しようとする場合、許可申請者は次の書類を用意し農地所在地の農業委員会を通して北海道知事または指定市町村長または道条例に該当する市町村長に提出し、許可を受けなければなりません。
許可申請者は先に述べた通り「自ら所有する農地の転用を使用とする者」「農地の売買などを行おうとする農地所有者と農地転用事業者」です。
必要書類
- 許可申請書
- 定款・登記事項証明書・寄附行為の写しなど(法人の場合)
- 土地の位置がわかる地図と土地の全部事項証明書
- 許可申請する土地に関して、設置予定の建物・道路・排水施設などの位置がわかる図面
- 十分な資金力および信用力があることを示す書面
- 転用に際し第三者の同意を得る必要がある場合はその同意書
- 土地改良区内に許可申請する土地がある場合は、土地改良区の意見書 など
許可申請手続き
- 申請者が農業委員会に必要書類を提出
- 北海道農業委員会ネットワーク機構による意見聴取
- 意見を添付して農業委員会から北海道知事または指定市町村長に送付
- 申請者に対して許可通知
まとめ
農地転用を検討している場合は、所轄庁に対して申請し許可を得る必要があります。重要な申請となりますので、できるだけ専門家に依頼し相談しながら許可取得に向けて動くことをおすすめします。当事務所では無料相談をご用意しておりますので、小さなことでもまずはお気軽にお問い合わせください。