NPO法人として事業を行うことを考えている場合、特定非営利活動促進法に記された要件を満たすかどうかを確認することが大切です。昨今は、法人化の手段としてNPO法人が選ばれることも多くなりましたので、ここでは、NPOを法人化するメリットについて説明していきます。
NPO法人の前提は「非営利」であること
NPO法人といえば非営利団体というイメージが定着していますが、「非営利」とはどのようなことを指しているのでしょうか。非営利であることを「営利を求めてはいけない」と解釈することができますが、「お金を稼いではいけない」という意味ではない点に注意しましょう。
「非営利」とは、収益を団体の構成員に分配しないことを意味しており、営利活動をしてはいけないということではありません。
NPO法人といっても非営利の事業活動を行いますので、経費の支払いが必ず発生します。職員・社員への給与を支払う必要もあるでしょう。これらすべての経費を寄付や会費などだけで賄うことは現実的ではありません。非営利団体であるNPO法人に営利活動が認められているのは、事業活動の維持に必要な資金を得るためなのです。
NPOを法人化する具体的なメリット
では、NPO団体から法人化を目指すことにメリットはあるのでしょうか。ここでは、代表的なメリットを挙げていきます。
団体としての契約行為が可能になる
組織的な活動を行ううえでは、事務所の賃貸契約や備品購入などが必要になります。NPOを法人化することにより、「NPO法人」として事務所を契約や物品購入が可能になるのです。同様に、NPO法人として口座を持つこともできるので、個人の財産とNPO法人としての財産を明確に分けたり、事業関係の収支管理が簡単になったりすることも大きなメリットだといえるでしょう。
法人としての財産保有が可能になる
法人として車を持ったり不動産を保有したりすることができるようになります。事業を行ううえで車は欠かせないものですし、保護活動を行っている場合は「財産保護」の名目で不動産などを所有できます。法人としての財産保有は事業遂行をスムーズにしてくれるでしょう。
代表者の交代がスムーズになる
法人化していない任意団体の場合、保有する財産は代表者など個人の名義になっているケースが多いといえます。この場合、NPOの代表者が交代するたびに名義人の書き換えが必要になります。また代表者が亡くなった場合、代表者名義としていたNPOの財産は相続対象となるため、活動趣旨に則った財産保護が難しくなってしまうことも考えられます。
これらのリスクは、法人化しておくことである程度回避することが可能です。財産の名義人を法人にしておけば、代表者交代にまつわる煩雑な名義変更手続きも必要ありませんし、NPOとして財産を保護することもできます。
資産がなくても法人設立が可能である
株式会社でいう資本金のことをNPO法人では「資産の総額」といいますが、設立に必要な資産金額は定められていないため、0円からでも法人設立することが可能です。
ただし、実際のNPO法人を運営するうえで経費はかかりますし、ある程度の資金を保有していなければ事業を軌道に乗せるまで大変苦しい状態になってしまいます。このため、規定はないものの、数ヶ月程度の運営資金を用意して法人設立に臨むことが大切だといえます。
公共事業を請け負いやすくなる
公共事業は基本的に入札制度を採用していますが、NPO法人が仕事を受注するケースも増えてきました。NPOは、法人としての機能を備えておくことで入札に参加することが可能になりますので、重要な社会貢献活動に参加する機会を得やすくなるでしょう。
法人化により社会的な信用度が高くなる
任意のNPO団体では個人が主体でしたが、法人格を持つことによりNPO団体としての権利や義務の在り方が明確になります。また、NPO法人を設立するためには、法に定められた書類を所轄庁に提出して認証を受ける必要があります。結果としてNPO法人の社会的信用度は高いものとなり、各種の活動を行ううえで相手方に大きな安心感を与えることを可能にしているのです。
まとめ
NPO法人を設立するためには、さまざまな注意点を理解し手続きを踏む必要があります。しかし、無事に法人格を得ることができれば、その後は大きな信用を背景に事業を進めていくことができるようになるでしょう。
当事務所では、会社設立相談および業務依頼を承っており、NPO法人の設立にも対応しています。これから立ち上げを考えているがどこから手を付けたらいいかわからない、などお悩みがありましたら、ぜひ無料相談をご利用ください。