近年、増加傾向にあるといわれるNPO法人は、立ち上げの際に一定の手続きを踏む必要があります。ここでは、NPO法人の認証手続きについて説明していきます。
NPO法人設立における認証手続き
NPO法人を設立する流れを整理してみましょう。
- 法律に基づく書類および申請書を所轄庁に提出
- 所轄庁が認証の可否を決定する
- 認証後は申請者が登記手続きを行う
NPO法人の認証の流れ
NPO法第9条によれば、所轄庁とは、法人の主たる事務所所在地を管轄する都道府県知事か指定都市の長を指しています。書類が提出されると、その受理日から2週間に渡り「縦覧(公に自由に見てもらう)」に供した後、所轄庁が基準を満たすと判断した場合に設立を認証することになっています。認証を受けたNPOは速やかに登記手続きを行い、ようやくNPO法人が成立することになるのです。
NPOの「認証」と「認定」の違いとは
NPO団体は法人格を得るために所轄庁に対し手続きを行う必要があります。先に述べたとおり、最も重要な「認証」という段階があり、法務局に対する申請を経て法人として認められます。北海道ホームページでは、認証に必要な書類として以下を挙げています。
【設立の認証申請に関する縦覧書類】
- 定款
- 役員名簿
- 設立趣旨書
- 設立の初年及び翌年の事業計画書、活動予算書
※北海道ホームページより抜粋
一方「認定」とは、NPO法人が税制上の優遇措置を受けるための制度で、所轄庁への事前相談・必要書類の提出・所轄庁による実態確認を経てようやく認定を得ることができます。具体的な税制優遇の内容として以下が挙げられるので、認定NPOを目指すのもいいでしょう。
【寄附者に対する税制上の優遇措置】
- 個人が認定・特例認定NPO法人に寄附した場合
- 個人が認定・特例認定NPO法人に現物資産を寄附した場合
- 個人が相続又は遺贈により取得した財産をNPO法人に寄附した場合
- 法人が認定・特例認定NPO法人に寄附した場合
【認定NPO法人自身に対する税の優遇措置(みなし寄附金制度)】
- 認定NPO法人自身に対する税の優遇措置(みなし寄附金制度)
※北海道ホームページより抜粋
NPO法人の設立における登記内容と認証内容
内閣府ホームページでは、登記内容と認証内容について詳しい説明が記載されています。
登記内容について
法務局に登記される項目は以下の通りです。
- NPO法人としての目的と業務
- NPO法人の名称
- 事務所の所在住所
- NPO法人の代表権を持つ者の氏名、住所及び資格
- 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由
- 代表権の範囲又は制限に関する定めがあるときは、その定め
※北海道ホームページ参照
登記後に行う届出
登記の完了をもってNPO法人が成立しますが、その後、法人として登記したことを示す登記事項証明書と設立時点での財産目録の両方を所轄庁に提出します。
設立の登記によって法人として成立したことになりますが、これに加え、登記をしたことを証する登記事項証明書及び設立当初の財産目録を添えて、所轄庁に届け出る必要があるのです。
認証について
NPO法人設立時の認証手続きでは、その申請内容が北海道ホームページで公開されます。これを縦覧といい、以下の書類を誰でも自由に閲覧することが可能です。なお、北海道の場合、縦覧できる場所は「道庁環境生活部くらし安全局道民生活課」か「所轄振興局の保健環境部衛生生活課」になります。
【設立の認証申請に関する縦覧書類】
- 定款
- 役員名簿
- 設立趣旨書
- 設立の初年及び翌年の事業計画書、活動予算書
※北海道ホームページより抜粋
認証手続きが持つ意味
縦覧を経たNPO団体は晴れて法人格を得ることになりますが、認証はあくまでも任意団体から法人になるために必要な過程であり、公的なお墨付きが与えられたわけではありません。認証とは、NPO団体が法人化のために必要な手続きを行ったことを示す言葉なのです。
なお、認証手続きは原則として書面審査になり、実地審査は行われません。したがって、NPO法人の信用性については、公開された書類を閲覧し各々がその責任の下に判断することが求められます。
まとめ
NPO団体が法人化するための手続きのうち、認証・認定について説明しました。認証は「NPO団体が法人化するための手続き」であり、認定は「NPO法人が税制優遇を受けるための手続き」であることがわかります。
実際の法人化手続きでは、関連法や各自治体における縦覧状況などを確認しながら慎重に手続きを進めていく必要があります。申請漏れや間違いなどを防ぐためにも、NPO団体の法人化をお考えの方は、ぜひ当事務所の無料相談をご利用ください。