NPO法人は非営利活動法人であることから、34の収益事業による収入を除き、さまざまな税金の減免を受けることができます。ここでは、NPO法人にかかる税金について説明していきます。
NPO法人に対して減免される税金と課される税金
NPO法人について、減免を受けられる税金と他の企業と同様に課せられる税金があります。
法人税
NPO法人は特定非営利活動法人のため、法人税上の公益法人として扱われます。したがって特定非営利活動から生ずる所得に対して法人税は課税されません。ただし、特定非営利活動に属さない34種類の収益事業から生まれた所得に関しては、他法人と同様に法人税が課税されます。
法人住民税
各種の法人には、法人住民税が課税されます。札幌市における税の内訳は、法人道民税均等割と法人市民税均等割ですが、このうち均等割についてはNPO法人も課税されます。ただし、北海道においては法人道民税減免措置を受けることができるので、道ホームページを確認しておきましょう。
源泉所得税
非営利活動法人とはいっても、NPO法人はその活動を行ううえでスタッフを必要とします。これらスタッフに対する給与や外部協力者に対する報酬などについて、所得税の源泉徴収をしなければなりません。
消費税
消費税について、国税庁ホームページでは以下のように定義しています。
消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。
※国税庁ホームページより抜粋
商品・サービスの価格に上乗せされる形で消費者が税を負担する形をとり、商品・サービスの販売者である事業者は消費税分を税務署に納税する義務があるのです。ただし、事業者もその取引内容によっては消費者側となるため、厳密には一事業者において消費者から納められた消費税と自らが取引上納めた消費税の差額を税務署に申告することになります。
したがってNPO法人についても、非課税取引に該当するものを除き消費税が課税されることになります。
課税対象となる取引について
当該事業期間の前々年度を基準期間とし、その期間内に1,000万円以上の課税売上があった場合に消費税が適用されます。たとえば2022年4月1日から2023年3月31日までの事業年度に対する基準期間は、全前年度に当たる2020年4月1日から2021年3月31日までですから、この間の課税売上が1,000万円以下であれば免税対象となるのです。
相続税・贈与税
相続税や贈与税は個人に対して課税されるもののため、法人であるNPOは原則として対象外となります。また、相続や遺贈により得た財産をNPO法人に寄付した人についても、相続税が課税されない決まりがあります。いずれのケースについても、細かな規定があるため、あらかじめ税理士に相談しながら納税の手続きを進めていくといいでしょう。
印紙税
NPO法人と印紙税の関係について、国税庁ホームページでわかりやすく説明されています。
特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)に基づいて設立された、NPO法人は、会社及び公益法人以外の私法人であり、営利を目的とせず、利益金又は剰余金の配当又は分配を行わないことから、営業者に該当しません。
したがって、営業者に該当しないNPO法人が作成する受取書は、課税物件表第17号文書の非課税物件欄2の規定により、営業に該当しないものとして非課税となります。
※国税庁ホームページより抜粋
したがって、5万円以上の取引があったとしても、NPO法人の場合は領収書に印紙を貼る必要がありません。ただし、印紙税が非課税となるのは領収書についてであり、たとえば行政と交わす請負契約書は非課税対象ではないため、契約書に印紙を貼付することになります。
まとめ
ここで挙げた税金はあくまでも一部であり、またNPO法人であっても課税対象となる税金はいくつもあります。NPO法人の運営にあたり、税務上正しく処理を行うためにも、税理士への相談あるいは依頼が不可欠になってくるでしょう。
また、NPO法人の設立にあたっては、さまざまな書類作成や届出、登記、財務会計などについて知識を得たり実際に手続きを行ったりする必要があります。専門家に相談する場合は、行政書士・司法書士・税理士などの力を借りなければなりません。当事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、司法書士や税理士、社会保険労務士といった各分野の専門家と連携をとりながらサポートしていきますので、まずは窓口の一元化について無料相談をご利用されることをおすすめします。