一般社団法人の構成員は、それぞれ大事な役割を担っています。ここでは、一般社団法人の監事の役割と権限について説明していきます。
監事は大切な責任を負う
一般社団法人における監事は、理事の業務遂行状況を見届ける役割を持ちます。その職務を果たす目的で以下の権限が付与されており、これら権限のもとに得た情報を監査報告書にまとめます。
(監事の権限)
第九十九条 監事は、理事の職務の執行を監査する。この場合において、監事は、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。
2 監事は、いつでも、理事及び使用人に対して事業の報告を求め、又は監事設置一般社団法人の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
3 監事は、その職務を行うため必要があるときは、監事設置一般社団法人の子法人に対して事業の報告を求め、又はその子法人の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
4 前項の子法人は、正当な理由があるときは、同項の報告又は調査を拒むことができる。
※e-Gov「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」より抜粋
監事の義務
監事が負う代表的な義務として、以下を挙げることができます。
社員総会に対する報告義務
理事が社員総会に出席するにあたって、監事は提出書類などの内容をあらかじめ調査する義務があります。仮に理事の提出書類などについて、法令違反・定款違反・著しく不当な事柄が見つかった場合、その旨を社員総会に対し報告することになります。監事による報告は、社員総会が適切に理事を監督することに繋がるのです。
理事への報告義務
理事に以下の行為が認められる場合、監事は理事または理事会に対して当該事項を報告します。
- 不正行為があったこと
- 不正行為の恐れがあること
- 法令違反・定款違反・著しく不当な事実が認められること
理事会が設置されている場合は特に、理事間での自浄作用を促すことに繋がります。
理事会への出席義務等
理事会に監事が出席する際、監事は必要に応じて意見する必要があります。また、理事会で意見する必要があると判断した場合、監事自ら理事に対して理事会を招集するよう要請できます。
監事の選任・任期・解任について
重要な役割を担う監事の選任・任期・解任についてみていきましょう。
監事の選任
監事は、社員総会により選任されます。議決権を持つすべての社員のうち過半数が社員総会に出席し、出席した社員のさらに過半数が賛成することで決議される仕組みです。
監事の任期
監事の任期は4年ですが、具体的には「選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結のときまで」であると会社法に明記されています。ただし、定款の定めにより最大2年の人気短縮が可能です。
監事の解任
社員総会の決議により、監事を解任することができます。ただし、監事を解任するための決議は特別決議になるため、議決権を持つすべての社員のうち過半数が社員総会に出席し、出席した社員のさらに3分の2以上が賛成することで解任の決議が成立します。
なお、一般社団法人のうち監事の設置について定款に定めた法人のことを、監事設置一般社団法人といいます。特に以下に挙げる社団法人は監事の設置が必須です。
- 理事会を設置する一般社団法人
- 会計監査人を設置する一般社団法人
- 大規模社団法人(貸借対照表の負債の合計額が200億円以上の一般社団法人)
※「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」参照
まとめ
当事務所では一般社団法人の設立に関するご相談・ご依頼を承っております。無料相談もご用意しておりますので、設立にあたり専門家による助言を希望される方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。ご依頼された場合は、必要に応じて税理士と協力しながら業務を進めていきます。ご相談者様のケースに応じたサポートをさせていただきますので、詳しくはご相談時におたずねください。