東京商工リサーチによれば、一般社団法人の社数は株式会社・合同会社に次いで3番目に多いようです。ここでは、一般社団法人を設立するメリットとデメリットについて説明していきます。
一般社団法人を設立するメリット
一般社団法人の設立に関わる代表的なメリットについてみていきましょう。
登記手続きが難しくない
株式会社などと同じく、一般社団法人を立ち上げたら法務局への登記手続きが必要になります。法務局のホームページでは登記申請書類を配布していますが、指定の申請書様式と印鑑証明書、指定の印鑑届書様式を提出すれば済みます。
なお、一般社団法人の設立には2名以上の社員を置くことになっており、うち1名が理事を務めます。規模の大きい大規模一般社団法人の場合は、社員・理事に加え会計監査人を置くことが求められています。
事業内容に制限がない
一般社団法人の事業内容は、非営利である限り特別な制限がなく、自由に事業を営むことができます。非営利とは「事業で得た収益を法人内で分配しないこと」を指しており、事業を営むために必要な資金の確保を目的とする営利活動は認められていますので、あらかじめ理解しておきましょう。
税制上優遇されている
一般社団法人が非営利か否かで税制優遇を受けられるかどうかが決まります。
認定を受けていない一般社団法人の場合は、営利事業による所得に対して課税されますが、非営利事業に対しては課税されません。具体的な区分は法人税法施行令第5条第1項に明記されていますので、事前の確認が必要です。
一般社団法人を設立するデメリット
メリットの反面にはデメリットも存在するものです。ここでは、一般社団法人を設立することで起こるデメリットについて説明します。
社員総会の開催が必須である
一般社団法人は社員と理事からなる組織で、定期的に社員総会を開くことが義務付けられています。社員総会で議題となる事柄には、事業運営の状況や収支状況などがあり、これら総会の内容については議事録を作成しなければなりません。
税制優遇を受けるための会計処理が複雑である
一般社団法人のメリットである「税制優遇」を受けるためには、まず営利事業と非営利事業に分け、非営利事業分の課税対象額を算出する必要があります。そのためには、一つひとつの支出について、営利・非営利の区別を付けなければなりません。当然ながら会計処理が複雑化するため、デメリットのひとつに数えられます。
社会保険に加入する必要がある
一般社団法人における社員は法人の発起人のような立場にありますので、社会保険に加入する必要はありません。ただし、1人でも従業員を雇っている場合は社会保険への加入が求められます。収益性が低い事業を行っている場合は、社会保険への加入費用が負担になる可能性が考えられます。
まとめ
事業をかたちにする手段として「法人化」という方法があり、最も適切なかたちとして一般社団法人を選択することができます。自分自身でも本を読んだりインターネットで検索したりして、一般社団法人の設立やメリット・デメリットについて理解しようと努めるものの、法律が絡む部分が多々あり、壁にぶつかってしまうことがあるかもしれません。
そのような場合は、ぜひお気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。取り入れた情報を整理したりイメージを明確にしたりすることができますので、一般社団法人の設立についてより具体的に検討していけるでしょう。
会社だけではなく、一般社団法人の設立においても、法律家による助言は必須といっても過言ではありません。どの法人も関連法に基づく要件やメリット・デメリットがあるものですから、まずは一度お問い合わせいただけますと幸いです。