法人格のひとつである一般社団法人は、設立・運営にあたりそれぞれ費用がかかります。ここでは、一般社団法人の設立費用と維持費(ランニングコスト)について説明していきます。
一般社団法人の設立費用
一般社団法人の設立にあたり、法人用の印鑑作成費用や事業に関する許認可取得費用が必要になりますが、最も重要なのが法定費用とよばれる支出です。具体的には「定款認証のために公証人に支払う費用」「設立登記時に支払う登録免許税」「設立後に取得する証明書類にかかる費用」の3種類に分けることができます。
定款認証のために公証人に支払う費用
一般社団法人の定款を作成したら、公証役場で認証を受けなければなりません。その際に支払う認証手数料は、公証人手数料令第35条に基づき50,000円となっています。
(定款の認証)第三十五条
二 株式会社又は特定目的会社であって、資本金の額等が百万円以上三百万円未満である場合 四万円
三 前二号に掲げる場合以外の場合 五万円
※e-Govより一部抜粋
認証を受けたら、登記申請用に定款の謄本を取得する必要があります。このとき、謄本1枚あたり250円を納めます。
(正本等の交付)
第四十条 証書の正本若しくは謄本、証書の附属書類の謄本又は定款若しくはその附属書類の謄本の交付についての手数料の額は、一枚について二百五十円とする。
※e-Govより抜粋
設立登記時に支払う登録免許税
定款認証を済ませたら、法務局で登記申請を行います。このとき、登録免許税として60,000円分の収入印紙を申請書に貼付します。法務局の資料によれば申請書の記載事項は以下の通りです。
【一般社団法人設立登記申請書の記載事項】
- 主たる事務所:(事務所の住所を記入)
- 登記の事由(申請日を記入)
- 登記すべき事項:(名称や事業目的、役員に関する事項など別紙あるいはCD-Rなどで提出の旨を記載)
- 登録免許税(申請書類に60,000円分の収入印紙を貼付)
- 添付書類(以下書類など必要なものを記載)
- 委任状(代理人が申請する場合)
※法務局による申請書記載例参照
■添付書類例
- 定款
- 設立時社員の決議書
- 設立時代表理事の互選に関する書面
- 設立時理事及び設立時代表理事の就任承諾書
- 設立時理事の印鑑証明書
- 委任状
※法務局による申請書記載例参照
設立後に取得する証明書類にかかる費用
一般社団法人を無事に設立できたら、役所や税務署などへの届出を行います。その際、登記事項証明書を提出する必要があるので、準備しておきましょう。なお、法務省ホームページによれば料金は以下の通りです。
【登記事項証明書の謄抄本取得手数料】
- 書面による請求:600円
- オンラインによる請求・送付:500円
- オンラインによる請求・窓口交付:480円
※法務省ホームページ参照
一般社団法人の維持費(ランニングコスト)
一般社団法人を設立したら、いよいよ法人としての活動が始まります。それと同時にさまざまな経費が発生しますので、維持費についてはあらかじめ目途をつけておきましょう。
定期的に発生する経費例
- 事務所の賃貸料金
- 給与などの支払い
- 原材料や商品の仕入費
- 広告宣伝費
- 社会保険料
- 税金 など
主だった出費のなかでも必ず発生する重要なものとして、税金について理解しておかなければなりません。一般社団法人に課される代表的な税金について整理してみましょう。
法人税・法人事業税・法人住民税
法人税・法人事業税・法人住民税(所得割)は、事業所得に対して課税されるものです。したがって、赤字の場合は非課税となります。一方、法人住民税(均等割)は所得の大きさに関係なく納税義務が発生しますので、仮に赤字経営だったとしても必ず納税しなければなりません。
法人道民税とは
この税金は、道内に事務所や事業所などがある法人のほか人格のない社団等に課税されるもので、法人の所得の有無にかかわらず負担する均等割と、所得に応じて負担する法人税割とがあります。
※北海道ホームページより抜粋
北海道の場合は法人道民税とよび、例えば札幌市に主たる事務所がある場合の均等割分は、北海道に対して20,000円+札幌市に対して50,000円の計70,000円となります。毎年の納税義務がありますので、赤字経営でも遅れなく納めるようにしましょう。
まとめ
一般社団法人として活動していくことを決めたら、どのような出費があるかを調べておくことが大事です。公益法人化することで税の減免を受けられることもあるので、まずは専門家に相談することをおすすめします。
当事務所では、一般社団法人の設立業務に関するご相談・ご依頼を受けております。必要に応じて提携する税理士などをご紹介することも可能ですので、まずは一度無料相談をご利用ください。