社会福祉法人は評議員・理事・監事などの機関を設置する必要があります。ここでは、社会福祉法人の運営組織とその役割について説明していきます。
社会福祉法人の運営機関と根拠法
社会福祉法人の運営機関として設置が必須とされるのは、
- 評議員/評議員会
- 理事/理事会
- 監事
ですが、法人の母体が大きい場合は特定社会福祉法人となるため、会計監査人の設置が義務づけられています。
根拠法は社会福祉法であり、第36条と37条に関連事項が記載されています。
(機関の設置)
第三十六条 社会福祉法人は、評議員、評議員会、理事、理事会及び監事を置かなければならない。
2 社会福祉法人は、定款の定めによつて、会計監査人を置くことができる。
(会計監査人の設置義務)
第三十七条 特定社会福祉法人(その事業の規模が政令で定める基準を超える社会福祉法人をいう。第四十六条の五第三項において同じ。)は、会計監査人を置かなければならない。
※e-Govより抜粋
運営機関の役割
社会福祉法人の各運営機関について、その役割を整理していきましょう。
評議員・評議員会
評議員は社会福祉法人を構成する重要な機関の1つであり、評議員からなる評議員会では法人の活動方針やルールなど重要事項を決定していきます。
評議員の人数は理事の定数を超えることになっており、条件として、法律上「社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者」であることが求められます。したがって、何らかの資格を持っていなければ評議員になれないといったことはありません。
理事・理事長
理事とは、社会福祉法人を構成する役員の一部であり、主に業務執行について担います。理事および理事長は次に挙げる権限を持つことになります。
【理事の権限・役割】
- 議決権の行使
- 理事長や業務執行理事の業務の監督
【理事長の権限・役割】
- 社会福祉法人の代表権
- 3カ月に1回以上の業務執行報告
理事会
理事会はすべての理事が集まる場で、さまざまな議題について話し合ったり決議を取ったりします。理事会としての役割は、業務執行の方向性決定や業務執行理事の監督が主であり、具体的には以下のように整理することができます。
【理事会の権限・役割】
- 業務執行に関する決定
- 業務執行理事の職務執行の監
- 理事長の選任および解職
社会福祉法人では、法人の重要財産の扱いについて、理事はその各種決定に関わることができないとされています。法人の中枢機関である理事に財産関連の権限を与えた場合、利害関係から問題が発生したり対立したりする可能性が出てくるため、そのような事態を防ぐ目的があるのです。
監事
監事は理事の活動をチェックする重要な役割を担っています。常設機関として、社会福祉法人との委任関係のもと主に以下の業務を行い、法人の適正な運営を支えているのです。
【監事の権限・役割】
- 理事および法人の業務内容の監査
- 監査報告
- 法人の財産状況の調査
- 理事会の招集請求
- 理事会への出席および報告
役員の兼務について
厚生労働省によると、評議員・理事・監事および会計監査人は兼務することができないとしています。また、親族関係にある者を選任する際は制限を受ける点も理解しておきましょう。
まとめ
当事務所では社会福祉法人の設立関連業務について、ご相談・ご依頼を承っております。行政書士といえば書類作成を主な業務内容としていますが、提携する司法書士や税理士などと協力しながら、新規法人設立だけでなく既存の法人からのご依頼にもお答えすることができます。
特に、これから社会福祉法人を立ち上げようとする方にとっては、評議員や理事、監査といった組織の理解と設置が最初の大きな業務となるでしょう。ご不明な点やご心配な点など、1つずつ情報を整理し前進していくことが大切です。ぜひ、当事務所の無料相談をご利用いただき、小さなことでもお気軽にお尋ねください。