社会福祉法人を立ち上げるためには、法律に基づいて手続きを進めたのち、所轄庁による認可を受ける必要があります。ここでは、社会福祉法人の設立の流れについて説明していきます。
社会福祉法人の設立について
社会福祉法人を設立するためには、社会福祉法施行規則に基づいて手続きを進めたのち、所轄庁による認可を受けなければなりません。
該当する所轄庁は、事業所が1つの場合は当該市区町が、事務所が2つ以上の場合は都道府県知事が該当します。
社会福祉法人設立の流れ
社会福祉法人の設立の流れを追って確認していきましょう。
設立準備委員会の開催
社会福祉法人を設立するためには運営機関による設立準備委員会の開催が不可欠です。
社会福祉法人の設立準備については、特段のルールがなく、一般的には設立予定者同士が法人設立のための準備委員会(以下、「準備委員会」という。)を発足させ、設立準備を進め、この準備委員会代表者が設立認可申請を行うこととなる。
また、法人設立と同時に社会福祉施設の施設整備を行う場合の申請も、原則として当該準備委員会の代表者名で行うこととしている。
法人設立に当たっての必要な資金・不動産等の確保と管理、役員等人事、設立後の法人運営などについて、合議体による準備委員会においてこれらを決定することにより、その透明性と確実性が図られることが期待される。
※札幌市による資料より抜粋
定款作成
一般的な会社と同様、社会福祉法人でも定款作成は必須となります。定款には絶対的記載事項と相対的記載事項、任意的記載事項を記載することになります。
【絶対的記載事項】
法人の名称・事業目的・社会福祉事業の種類など、必ず記載しなければいけない事柄を指します。
- 目的
- 名称
- 種類
- 事業所の所在地
- 役員(理事・監事)に関する事項
- 会議に関する事項
- 資産に関する事項
- 会計に関する事項
- 評議会に関する事項
- 公益事業の種類
- 収益事業に関する事項
- 解散に関する事項
- 定款を変更するにあたって必要な事項
- 公告の方法
※厚生労働省「社会福祉法人定款例」より抜粋
【相対的記載事項】
定款への記載は任意であるものの、記載することで絶対的記載事項と同様の効力を発揮する事柄を指します。
厚生労働省の参考資料では、記載事項の例を以下のように挙げています。
- 評議会を置く場合には、それに関する事項
- 公益事業を行う場合は、その種類
- 収益事業を行う場合は、その種類
- 解散に関する事項
- 理事の代表権を制限する規定
- 業務の決定方法
※厚生労働省「社会福祉法人定款例」より抜粋
【任意的記載事項】
理事会の開催頻度など、任意の記載事項のことを指します。
- 役員外で役職を設ける場合の規定や職員の任免に関する事項
- 役員の欠員や補充に関する事項
- 監事の職務に関する事項
- 監事の兼職禁止に関する事項
- 合併に関する事項
※厚生労働省「社会福祉法人定款例」より抜粋
所轄庁による認可
定款を作成したら、所轄庁による認可を受けます。札幌・旭川・函館市内に事業所がある場合は当該都市が所轄庁になりますが、それ以外については事業所の所在地を管轄する各振興局を窓口としています。
設立登記申請
無事に認可が下りたら、法人の主たる事務所を管轄する法務局に対して登記申請を行います。また、社会福祉法人として土地建物などの不動産を所有する場合は、法人設立登記を行ったあとで不動産登記の申請も必要になります。
社会福祉法人設立のための必要書類
社会福祉法人設立のために必要な書類を整理しておきましょう。
- 設立認可申請書
- 定款
- 設立当初の財産目録
- 財産が法人に帰属することを証する書類
- 法人に帰属しない不動産の仕様権限を証する書類
- 設立当初の会計年度および次会計年度の事業計画書および収支予算書
- 設立者の履歴書等
- 役員就任予定者の履歴書等
- 施設建設関係書類
- 施設庁就任承諾書 など
漏れがないよう事前にしっかりと確認することが大切です。
まとめ
社会福祉法人はその性質上、設立までの過程は決して簡単ではありません。定められた要件をクリアしたうえで多くの必要書類を提出し、認可を受けてようやく登記にいたります。認可申請や登記申請など専門性の高い業務も発生しますので、一般的には専門家に依頼して設立までこぎ着けることが多いようです。
当事務所では行政書士を窓口として、提携する司法書士や税理士と協力しながら社会福祉法人の設立をトータルでサポートしていきます。社会福祉法人の設立までには相応の準備と時間を要しますので、余裕をもって当事務所の無料相談をご利用ください。