社会福祉法を根拠法とし、社会福祉事業を目的とするのが社会福祉法人です。ここでは、社会福祉法人とは何かをわかりやすく説明していきます。
社会福祉法人とは
社会福祉法では、社会福祉法人について以下の通り定義しています。
(定義)
第二条 この法律において「社会福祉事業」とは、第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業をいう。
※e-Govより抜粋
同法によれば、社会福祉法人はサービス利用者の心身を健康に保ち十分な日常生活を送るための支援をするものとされています。その目的ゆえに、社会福祉法人には高い公益性とクオリティ維持が求められているのです。このため、株式会社と比べてさまざまな制約を受けており、以下のような条件を満たしていることとが求められます。
【事業目的】
公益事業や収益事業を含む社会福祉事業が対象
【所轄庁】
- 札幌の場合は札幌市長(政令指定都市)
- 主たる事務所を北海道に置き道内で事業を行う場合は北海道知事
- 1つの振興局内で事業を行う場合は当該振興局長
【資金】
寄附金を主とする
【設立時の人員】
6名以上の理事、2名以上の監事、理事の人数の2倍を超える評議員を設置する
社会福祉法人の事業の種類
社会福祉法人は、社会福祉事業・公益事業・収益事業の3つに携わることができます。
社会福祉事業
給食サービスや高齢者向けサービスなど、利用者の生活の質を維持するための支援を主とした事業を指します。社会福祉事業は第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業に分けることができ、それぞれ次のような特徴を備えています。
第一種社会福祉事業
障害者支援や高齢者支援を主な目的としたものが第一種社会福祉事業に該当します。法人の安定的な経営がサービス利用者の保護に直接影響するため、これら事業を営むことができるのは国や地方公共団体、または社会福祉法人に限られます。したがって、民間団体として第一種社会福祉事業に関わろうとするときは、まず社会福祉法人を設立する必要があるのです。
【経営】
社会福祉法人が第一種社会福祉事業を営む場合、都道府県知事に対する届出が必要になります。一方、社会福祉法人ではない者が第一種社会福祉事業を営もうとする場合は、都道府県知事による許可を得なければなりません。
【事業内容】
社会福祉法第2条では、第一種社会福祉事業の具体的な事業内容について以下のように定めています。
第二条 この法律において「社会福祉事業」とは、第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業をいう。
2 次に掲げる事業を第一種社会福祉事業とする。
一 生活保護法に規定する救護施設、更生施設その他生計困難者への生活扶助施設経営事業及び生計困難者に対して助葬を行う事業
二 児童福祉法に規定する乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設又は児童自立支援施設を経営する事業
三 老人福祉法に規定する養護老人ホーム、特別養護老人ホーム又は軽費老人ホームを経営する事業
四 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害者支援施設を経営する事業
五 削除
六 売春防止法に規定する婦人保護施設を経営する事業
七 授産施設を経営する事業及び生計困難者に対して無利子又は低利で資金を融通する事業
※e-Gov参照
法の記載事項からも、公益性が非常に高く重要な事業であることがわかります。
第二種社会福祉事業
主に在宅サービス事業を指しており、高齢者宅などへのヘルパー派遣やデイサービスなどが該当します。経営主体である法人が届出を出すことにより、これら事業を開始することが可能です。
【経営】
特に制限は設けられておらず、第二種社会福祉事業に携わろうとする法人が届出を行うことにより経営が可能になります。
【事業内容】
社会福祉法第2条では、第二種社会福祉事業の具体的な事業内容について定めており、その範囲は非常に幅広くなっています。
- 生活困窮者への各種支援
- 障害児支援
- 子育て支援
- 養子縁組支援
- 母子・父子家庭支援
- 高齢者支援
- 障害者支援 など
公益事業・収益事業
社会福祉法人が行う公益事業は、社会福祉に関連する公益性の高い事業でなければなりません。一方、収益事業とは、それにより得られた収益を公益事業運営に充てるためのものです。
【公益事業の例】
- 子育て支援事業
- 入浴支援、排泄支援、食事支援など
- 高齢者施設の経営
- 人材育成
- 行政と事業者との連絡調整事業
【収益事業の例】
- 駐車場経営
- 貸ビル経営
- 公共施設内売店経営
※厚生労働省資料参照
まとめ
高齢者や障害者、母子・父子家庭や子どもを守り、皆が安心して暮らせる世の中を実現するために、社会福祉法人は大きな役割を果たします。
これから社会福祉法人を立ち上げようと考えている場合は、まず当事務所の無料相談をご利用いただき、理念や現状、将来的なイメージをぜひお聞かせください。法人設立に注力する行政書士として、法的なアドバイスや設立スケジュール、注意点などについてわかりやすく説明させていただきます。