一般財団法人も、何らかの理由で解散せざるを得なくなることがあります。ここでは、一般財団法人の解散事由と解散手続きについて説明していきます。
一般財団法人の解散事由
一般財団法人は解散によりその事業を終えます。解散事由は法務省ホームページに記載されており、該当する場合に解散することとされているのです。
A27 一般財団法人は,次の(1)から(7)までの場合に解散することとされています。
(1) 定款で定めた存続期間の満了
(2) 定款で定めた解散の事由の発生
(3) 法第172条第2項の基本財産の滅失その他の事由による一般財団法人の目的である事業の成功の不能
(4) 当該一般財団法人が消滅する合併をしたとき
(5) 破産手続開始の決定があったとき
(6) 解散命令又は解散の訴えによる解散を命ずる裁判があったとき
(7) 純資産額が2期連続して300万円を下回った場合
※法務省ホームページより抜粋
休眠解散について
長期にわたりその事業活動を停止することを休眠といいます。一般財団法人についても休眠という考え方があり、最後に行われた理事改選登記から5年経過していることをもって休眠状態と判断されるのです。
このとき、法務局に対して2か月以内に「事業を廃止していない届出」を行うことを官報で公告する必要があります。さらに公告を行った日から2ヵ月以内に実際に届出を行わなければ、法人は解散したものとみなされてしまうので注意が必要です。
万が一、期間内に届出を行わなかった場合、期間満了をもって法務局により解散登記がなされます。
一般財団法人の解散手続き
一般財団法人が解散するためには、本店所在地を管轄する法務局に対して解散登記と清算結了登記を済ませる必要があります。清算手続きを終えることで、一般財団法人はその役目を終えるのです。なお、解散後は清算人を選任して、法人所有の財産について適切な手続きを行います。
清算人の選任
法律では、以下に該当する人物が清算人となりますが、特に定款に定めのある場合や法人が解散した場合は、理事が清算人を務めます。
(清算人の就任)
第二百九条 次に掲げる者は、清算法人の清算人となる。
一 理事(次号又は第三号に掲げる者がある場合を除く。)
二 定款で定める者
三 社員総会又は評議員会の決議によって選任された者
※e-Govより抜粋
一般財団法人が解散した後、3人以上の清算人からなる清算人会を設置するか、会を設けない場合は1人以上でもよいとされています。また、清算人は以下の業務を行います。
- 解散後に残った財産の換価
- 債権取り立て
- 債務の弁済
- 法人の財産調査
- 財産目録と貸借対照表の作成
特に、財産調査や財産目録・貸借対照表を作成したときは、これを評議員会に報告しなければなりません。
解散の流れ
一般財団法人が解散する流れを追ってみましょう。
評議員会の開催
一般財団法人が解散する場合、以下の事柄について評議員会を開催する必要があります。
- 清算人の選任の決議
- 財産目録等承認
- 決算報告の承認
債権者に向けた公告
債権者に対し、その債権を申し出るよう呼びかけるため、解散後一定期間内に官報公告を出さなければなりません。
事務手続の完了と債権・債務の取扱
一般財団法人の解散に伴う様々な事務手続きや、債権・債務の処理を完了させます。
法務局への登記申請
一般財団法人が解散した日から数えて2週間以内に、法務局への登記を行い、清算人を選任することになります。
異動届
すべての手続きが終わったら、法人の本店所在地を管轄する税務署・役所等に対し、異動届を提出します。
まとめ
目標に向かって事業を営んできた財団法人でも、解散を迫られる事態が起こる可能性は否定できません。何事も、始めるときより終えるときの方が大きな力を必要とするものですので、できるだけ専門家に相談しながら手続きを進めていきましょう。
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