法人形態のひとつに一般財団法人があります。ここでは、一般財団法人とはどのような組織なのか、概要について説明していきます。
一般財団法人の定義
一般財団法人とは、平成20年に開始した新公益法人制度に基づき生まれた形態で、その根拠法は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」です。
一般社団法人やNPO法人と同じく非営利活動を行いますが、その設立にあたっては300万円以上の財産を持っていることが条件となるものの、活動内容や公益性について問われることはありません。また、法人の活動資金を得ることを目的に営利活動を行うことができます。
一般社団法人と大きく異なる点を挙げてみましょう。
- 一般社団法人:人が集まって組織が作られる
- 一般財団法人:集められた財産について組織が作られる
一般社団法人は「人の集合体」であるため、設立にあたり資金額の指定を受けることはなく、あくまでも活動内容に焦点が当てられます。一方、一般財団法人は「財産の集合体」なので、さまざまな目的に応じて財産を活用します。
設立時にかかる費用の違い
一般財団法人を設立する際、どのくらい費用がかかるのでしょうか。ここでは、一般社団法人と比較して概算を立ててみます。なお、一般財団法人は前述のとおり最低300万円以上の財産を拠出する必要がありますので、一般社団法人に比べると設立時費用は高額に見えるかもしれません。
【一般財団法人】
- 資金:最低300万円以上
- 定款認証に関わる公証人手数料:50,000円
- 紙の定款にかかる印紙代:40,000円(電子定款の場合は0円)
- 登録免許税:60,000円(資金の7%分)
- 謄本取得手数料:一通あたり600円
【一般社団法人】
- 資金:最低300万円以上
- 定款認証に関わる公証人手数料:50,000円
- 紙の定款にかかる印紙代:40,000円(電子定款の場合は0円)
- 登録免許税:60,000円(資金の7%分)
- 謄本取得手数料:一通あたり600円
一般財団法人の組織形態
一般財団法人の設立には以下の機能が求められます。
- 評議員:株式会社の株主にあたる立場
- 評議員会:株式会社の株主総会に当たる機能
- 理事:業務執行をつかさどる機能
- 理事会
- 監事:理事の業務執行状況を監視する機能
※大規模な一般財団法人の場合は会計監査人を必ず置く
公益財団法人とは
一般財団法人が都道府県あるいは国から公益認定を受けると、公益財団法人と名乗ることができるようになります。「公益」とは一般的に社会貢献を意味しており、これを事業として活動する一般財団法人を対象として公益認定の可否を決定します。
内閣府ホームページには以下のように記載されています。
一般社団・財団法人のうち、民間有識者からなる第三者委員会による公益性の審査(公益目的事業を行うことを主たる目的とすること等)を経て、行政庁(内閣府又は都道府県)から公益認定を受けることで、公益社団・財団法人として税制上の優遇措置を受けることができます。
※内閣府ホームページより抜粋
認定を受けようとする一般財団法人は公益認定基準を満たしていなければなりません。たとえば、以下に該当することが求められます。
公益財団法人の活動基準として公益性のある事業以外に、以下のような基準があります。
- 公益目的事業に係る収入が支出額を超えないこと
- 収益事業が公益事業に支障を及ぼさないこと
- 理事および近い親族の理事・監事が3分の1を超えないこと など
「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」では、第5条「公益認定の基準」および第6条「欠格事由」に詳細が明記されていますので、認定を目指す前にしっかりと読み込んで理解しておきましょう。
まとめ
教育関係や医療関係、福祉関係などさまざまな分野にわたる一般財団法人を立ち上げたい場合は、関連法の基準を満たしているか、見落としがないか、十分注意して設立準備を行うことが大切です。
当事務所では会社設立および各種法人の設立業務相談・ご依頼を承っていますので、これから事業の立ち上げを検討している人や現在準備中の人などは、ぜひ一度無料相談をご利用ください。法律により細かく指定されている事柄も多いため、専門家によるアドバイスが役立つことでしょう。お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。