事業立ち上げの形態のひとつとして、一般財団法人というかたちがあります。ここでは、一般財団法人の種類や運営機関、法人税の扱いについて説明していきます。
非営利徹底型法人と営利型法人
一般財団法人は、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」によりその定義や細則が決められています。
第百五十二条 一般財団法人を設立するには、設立者(設立者が二人以上あるときは、その全員)が定款を作成し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
※e-Govより抜粋
原則として一般財団法人は収益を社員に分配しないことが前提となっていますが、さらに細かく分けると「非営利徹底型法人」と「営利型法人」に分けることができます。
非営利徹底型法人
非営利徹底型法人は、事業で得た収益を社員に分配しないことになっています。非営利徹底型法人が取り組む事業は、収益事業と非収益事業に分けることができ、法人としての要件は以下の通りです。
- 収益・剰余金を社員に分配しないこと
- 法人を解散した場合は公的機関・団体に財産を贈与すること
- 上記について定款に定めていること
- 定款に違反する行為を定めそれを行わないこと
- 理事およびその親族である理事が理事総数の3分の1以下であること
収益事業とは、一般財団法人の事業活動から得られる収益が課税対象となるものをいい、その収益が非課税対象となるものは非収益事業としています。
また、設立要件に「公益性」が含まれていないため、法に反する事業あるいは公序良俗に反する事業でない限り、自由に事業活動を行うことが可能です。
営利型法人
非営利徹底型法人に該当しない場合、営利型法人としての扱いになり、税制上も一般的な法人と同じくなります。たとえば、営利事業を営む一般財団法人の所得には法人税が課税されますが、その代わり非営利事業を行う必要はありません。
一般財団法人の運営機関と法人税の扱い
一般財団法人の運営機関として、理事・理事会・評議員・評議員会・監事を置くことになっており、それぞれ決められた業務に従事します。法人の代表となるのが代表理事で業務を執り行い、評議員は評議員会において定款や法律に定められた事項について協議し決議を行います。また、監事は理事がその職務を正しく遂行しているか監視する役目を負っています。
一般財団法人に対する法人税の扱い
国税庁ホームページによれば、営利事業を営む一般財団法人には法人税が課税され、公益事業を営む一般財団法人は収益事業から生まれた収益に対してのみ課税されます。
また、一般財団法人のうち公益性のある事業を営んでいるものについては、公益法人として認定することができます。公益の認定を得ることにより、公益財団法人が行う公益目的事業から生じた収益は非課税になる点も覚えておきましょう。
【一般財団法人に対する法人税の取扱い概要】
1 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下「公益法人認定法」といいます。)に基づく公益認定を受けた公益社団法人・公益財団法人
公益法人等として取り扱われ、法人税法上の収益事業から生じた所得が課税対象となります。
なお、公益目的事業は収益事業から除かれているため、公益目的事業から生じた所得は課税対象になりません。
2 公益法人認定法に基づく公益認定を受けていない一般社団法人・一般財団法人
1 法人税法上の非営利型法人の要件を満たすもの(以下「非営利型法人」といいます。)
公益法人等として取り扱われ、収益事業から生じた所得が課税対象となります。
2 1以外のもの(以下「非営利型法人以外の法人」といいます。)
普通法人として取り扱われ、全ての所得が課税対象となります。
※国税庁ホームページより抜粋
まとめ
一般財団法人の活動のなかでも、営利事業を営むか公益性のある事業を営むかによって、法人税の扱いが変わってきます。法人設立の際は各機関の設置から事業内容の決定まで、慎重に検討を重ね、将来を見越して判断することが大事です。
当事務所では一般財団法人の設立業務について、ご相談・ご依頼を承っています。現在、一般財団法人の設立を検討しており、またその運営の在り方について方向性を定めることに難儀している方など、ご不安・疑問でお困りの方は、ぜひ一度無料相談をご利用ください。現状と将来像を整理して、どのように法人を設立し運営していくか、イメージを一緒に作ってみましょう。