個人事業主が金融機関から融資を受けることは簡単ではありません。しかし、個人であっても金融機関を納得させるだけの適切な書類を用意し、自ら事業の展望について明確に示すことができれば、融資を受けることは決して無理ではないのです。ここでは、個人事業主が融資を受けるためのポイントについて説明していきます。
個人事業主が融資を受けるために備えておきたいこと
個人事業主が融資を受けにくい理由として、中小企業のように法人としての身分が不足している点が挙げられますが、その他にも、個人事業主に目立つ事業分析の曖昧さに目を向ける必要があるかもしれません。たとえば、事業内容・事業計画とその見通し・業界の動向とその影響など、中小企業であれば当然に行われている分析が、個人事業主の場合は甘いことが多いのです。このことから、個人事業主が融資を受けようとする場合は、以下の点について明確に回答できるようあらかじめ準備しておくことが重要です。
必要な金額と入金希望日を明確にする
個人事業主としては明日にでも融資を実行して欲しいものですが、金融機関の審査には若干の時間を要します。このことから、一定期間後の融資実行を目標点とし、高額すぎない金額設定をしておくことをおすすめします。融資を希望する金額が高額すぎるほど、審査に時間を要することが多いため、速やかな着金のためにも現実的な金額を算出しておくことが大切です。
融資が必要になった理由を明確にする
お金が手元にあればあるほど事業者としては安心感を得られるものですが、だからといって「資金に余裕を持ちたいから」「足りないから」といった理由で申請することは避けましょう。事業を発展させるために必要になった金額を貸し付けるのが、融資の目的であるからです。
返済計画をあらかじめシミュレーションしておく
金銭を借りるからには返済していかなければなりません。事業の収支をあらためて確認し、返済にいくら充てることができるかシミュレーションを行い、そのうえで融資して欲しい金額を計算するといいでしょう。また、融資を受けることができれば、どれくらい売上アップに効果が見込めるかについても明らかにしておくことが大切です。ポイントは、収支や見込み売上を具体的な数値で表し説得力が増すようにする点にあります。
融資申込みのための基本的な必要書類
融資の申込みをする場合、どの金融機関に対しても必要になると思われる基本的な書類を挙げていきます。これらの書類は、民間金融機関であっても日本政策金融公庫であっても、融資申込みの際に必要になるものですので、事前に確認し内容のチェックも行っておきたいところです。
事業計画書の用意
融資申込みの際に重要な役割を果たすのが事業計画書です。会社のポリシーや事業として目標としていることなどを明確にするだけでなく、今後どのような方針のもとに事業を発展させていく予定か、読む人に伝わりやすく工夫することが大切です。なお、個人事業主の事業計画書については特に、事業者≒事業でもあることから、個人事業主本人が事業にいたった経緯から今後の展望にいたるまで明確にしておくべきでしょう。
資金繰り表の用意
資金繰り表を用意する目的は、金融機関に対して自らの返済能力を示すことにあります。個人事業主の場合は自分で経理を担当することがほとんどなので、どうしても仕分けが曖昧になりやすいところがありますが、金融機関から収支内容について問われたときにきちんと答えることができるよう、今一度見直しておくことが必要です。
決算書の用意
決算書は金融機関から最も重視される書類の1つです。日々の収支は資金繰り表などで見ることができますが、年間の売上や経費などについては決算書を見れば一目瞭然です。財政状況の良し悪しを判断できる材料になるので、個人事業主は確定申告書類と収支内訳書を揃え、質問されても数値の根拠について説明できるようにしておくことをおすすめします。
まとめ
個人事業主が融資してもらうためには、必要書類をきちんと揃えるだけではなく、なぜ融資の必要が出てきたのかをしっかり説明できることが求められます。金銭借り入れに関わる話し合いは個人事業主にとって緊張を伴うものですが、全てにおいて「なぜこの数字なのか」「なぜ売上が変化しているのか」「事業計画書の再現性はどうか」など、質問に対する具体的な回答ができることを目指して準備しましょう。