会社設立に際しまとまった資金が必要になる場合、多くの人は日本政策金融公庫から融資を受けようと申込みを行います。このとき公庫は信用情報機関を確認し、申込者の返済能力を計るのです。ここでは、日本政策金融公庫が審査に利用している信用情報機関の確認や、申込者に金融事故などがある場合の対処法について説明していきます。
日本政策金融公庫で確認されるCICの登録情報
日本政策金融公庫は融資の申込みにあたり、申込者の信用情報を確認します。日本政策金融公庫ではCICという信用情報機関を参照するため、CICに申込者の金融事故情報などが載っていた場合、審査で不利になることが考えられるのです。日本政策金融公庫では多種多様な融資を行っており、民間金融機関では利用を認められない事業者などが日本政策金融公庫に望みをかけて申し込みます。しかし、日本政策金融公庫が行う融資の原資は税金ですから、公庫としても返済能力に問題がある申込者に貸付を行うわけにはいきません。そこで、申込みがあった場合は必ず信用情報機関を確認し、融資の可否を決定するひとつの材料にするのです。
個人信用情報機関「CIC」とは
CIC(株式会社シーアイシー)は、個人の信用情報が登録されている信用情報機関のひとつです。CICに個人情報の照会を行うと、個人がクレジットカードやローンの申込みを行った履歴、借入れ状況、返済状況や利用残高などの情報を確認することができます。債務整理のように金融事故があった場合は、一定期間にわたりその事実も登録されます。
■CICの登録情報
- 本人情報:氏名・住所・電話番号・生年月日・勤務先情報など
- 申込情報:金融商品への申込み日など
- 契約情報:金融商品の契約日・貸付金額など
- 返済状況:入金日・残高・完済日・延滞など
- 取引事実:債務整理・強制解約・破産など
これらの情報を確認したうえで、公庫は申込者の返済能力を計り、融資を実行するかどうかを決めることになります。
申込者の信用情報に問題がある場合の対処法
自分自身が過去に延滞を起こしたり債務整理などを行ったりしていた場合、CICにはその事実が登録され、日本政策金融公庫もCICの情報を審査の参考とします。申込者の信用情報に問題がある場合、日本政策金融公庫としても融資の実行を見合わせることが考えられるので、申込者としても非常に心配になるところでしょう。このようなときは、以下に挙げるような方法をとり適切に対処することが大切です。
金融事故情報の登録期間を過ぎてから申込む
延滞や債務整理など、個人の事故情報はその種類によって一定期間にわたり信用情報機関に登録され続けます。この場合、登録期間を過ぎてから融資申込みを行えば、審査におけるネガティブ要素を減らすことができるでしょう。
信用情報の間違いに対して修正を申し立てる
すでに債務を完済しているにもかかわらずその事実が登録されていないなど、何らかの間違いがみられる場合は、当該金融機関に対して速やかに情報修正を申し立てましょう。金融機関の方で情報が修正されれば、信用情報機関にも正確な事実が反映されます。
他に代表者を立てて申込む
会社の代表者あるいは取締役となる人物に金融事故情報がある場合、融資の審査に通る可能性は低くなるといってもいいでしょう。このようなときは、信用情報に問題のない別の人物を代表者に立てて、融資申込みを行うのも一案です。本来代表者になるべきだった人物については、そのネガティブ情報が消えてから役割交代を行うという選択肢もあります。
まとめ
融資の種類を問わず、日本政策金融公庫に申込みを行えば必ず信用情報を確認されます。もし、申込者自身の信用情報に問題があり審査が不安な場合は、CICに情報開示請求を行って現在の登録状況を確認してみましょう。問題がある事実が記載されていた場合は、その情報が抹消されるまでの間は融資申込みを見合わせて適切な時期を待った方が、融資を受けられる可能性が高まります。当事務所では会社設立に関して多角度的なサポートを行っており、融資の問題についてもご相談を承っていますので、ぜひお気軽にご連絡ください。