質屋営業を行おうとする者は、営業所ごとにその所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければなりません。必要書類、手続きの流れについてみていきましょう。
手続きの流れ
必要書類を揃えて申請窓口に提出し、許可がおりたら営業開始することができます。また、質物の保管設備を設ける必要があります。
1. 保管設備を設置できる物件の選定
質屋営業を行うための物件を選定します。その際、質蔵として使用できる保管設備を設置できるか、建築や内装関連の専門業者の意見も聞きながら物件を選んでいくといいでしょう。
2.警察との事前協議
保管設備の構造や材料、図面などを警察に確認してもらい、指示あるいは了解を得る必要があります。保管設備の設置工事を行う前の段階で必ず事前協議を行います。
3.立会検査の実施
保管設備の設置工事中に、警察による立会検査が行われます。保管設備の耐火構造や床面積、使用材料などが法令に定められた通りであるか、実際に見てもらうのです。また、保管設備が完成した時点でも、再び警察によるチェックを受け最終的に問題がないか確認してもらいます。
4.必要書類の用意
質屋許可申請書および添付書類を揃えます。その際、「質物の保管設備の基準に関する規則」の定めを満たしていることを示すために、建築・内装業者から、設計図や防火・防湿設備などの補足書類を入手しておきましょう。
5.申請
申請書類を揃えたら、警察署の生活安全係に提出します。
6.許可証の交付
申請内容に問題がないと判断されたら、許可証が交付され質屋営業ができるようになります。
申請に必要な書類
質屋営業許可申請書
【個人の場合】
- 履歴書及び住民票の写し
- 法第三条第一項第四号に掲げる者に該当しないことを誓約する書面
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村(特別区を含む。)の長の証明書
- 質物の保管設備の構造概要書、図面その他の書類
【法人の場合】
- 定款及び登記事項証明書
- 代表者その他業務を行う役員に係る以下の書類
- 履歴書及び住民票の写し
- 法第三条第一項第四号に掲げる者に該当しないことを誓約する書面
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村(特別区を含む。)の長の証明書
- 管理者を定めるときは、当該管理者に係る第一号イ及びハに掲げる書類並びに法第三条第一項第九号ロに掲げる者に該当しないことを誓約する書面
- 法定代理人のあるときは、当該法定代理人に係る第一号イ及びロに掲げる書類(法人の場合は、第二号イ及び代表者その他業務を行う役員に係る第一号イ及びロに掲げる書類)
- 質物の保管設備の構造概要書、図面その他の書類
※質屋営業法施行規則より抜粋・参照
保管設備建築の注意点
質屋営業許可を得るためには、北海道公安委員会の定める基準を満たす保管設備を用意しなければなりません。
(保管設備)
第七条 公安委員会は、火災、盗難等の予防のため必要があると認めるときは、質屋の設けるべき質物の保管設備について、一定の基準を定めることができる。※質物の保管設備の基準に関する規則
2 公安委員会は、前項の基準を定めた場合は、一定の公告式により、これを告示するものとする。
3 第一項の規定により、公安委員会が質物の保管設備について基準を定めた場合には、質屋は、当該基準に従い質物の保管設備を設けなければならない。
※質屋営業法
なお、保管設備は営業所から著しく離れてはならず、また以下のような条件を満たす必要があります。詳しくは「質物の保管設備の基準に関する規則」を必ず確認しましょう。
- 床面積は10㎡以上で容積が30㎥以上であること
- 内壁や床は板張りなどを施した防湿構造とすること
- 外壁部に開口部(出入口・窓・換気口など)を設ける場合は、建築基準法に基づく防火戸を設置すること
- 出入口のとびらには堅ろうな錠前を設置すること など
※質物の保管設備の基準に関する規則参照
以上のように設備基準は細かく指定されているので、許可申請にあたり警察と事前協議を行う際には、建築業者や内装業者といった専門家にも同席してもらうといいでしょう。
質屋営業許可後の義務
質屋営業許可を受けたら、営業車の義務として次に挙げる事柄を実施しなければなりません。
許可証の掲示
営業所内の見やすい位置に、質屋営業許可証(許可を受けたことを証するもの)の表示をしなければなりません。同時に、次の事柄についても掲示が義務付けられています。
- 利率
- 利息計算方法
- 流失期限
- 営業時間 など
確認及び申告
質屋が物品を質に取ろうとするとき、顧客(質置主)の住所・氏名・職業・年齢を確認しなければなりません。なお、顧客が持参した物品に不正品の疑いがある場合は、すぐに警察官にその旨を申告する義務があります。
帳簿の備付け
質屋は帳簿を備え付けることが義務付けられており、質契約ならびに質物変換および流質物処分を行ったときは、以下の事柄について帳簿に記載することとなっています。帳簿は最後に記載したときから3年間保存しなければならず、また毀損や紛失に遭ったり、盗み取られたりした場合は、すぐに所轄の警察署に届け出る必要があります。
【帳簿記載事項】
- 質契約の年月日
- 質物の品目及び数量
- 質物の特徴
- 質置主の住所、氏名、職業、年齢及び特徴
- 確認の方法
- 質物返還又は流質物処分の年月日
- 流質物の品目及び数量
- 流質物処分の相手方の住所及び氏名
関係法令
手続先および費用
【申請先】
北海道警察生活安全係
札幌市中央区北2条西7丁目
【手数料】
22,000円(質屋営業許可申請手数料)
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