日本は海に囲まれた非常に緑豊かな国ですが、恵まれた自然条件の一方で、地震や火山、岩盤崩落などの災害と常に隣り合わせであることは周知の事実です。地質調査業者はより安全な国土を維持管理するためにさまざまな活動を行っています。
地質調査業者登録の法的根拠
昭和52年に告示された「地質調査業登録規程」により、地質調査業の定義や登録要件、各種申請や届出に関するルールが明確化しました。
第二条 (登録)
地質調査業者(地質又は土質について調査し、及び計測し、並びに解析し、及び判定することにより、土木建築に関する工事の設計若しくは監理又は土木建築に関する工事に関する調査、企画、立案若しくは助言に必要な地質又は土質に関する資料の提供及びこれに付随する業務を行うこと(以下「地質調査」という。)を請け負い、又は受託する営業(以下「地質調査業」という。)を営む者をいう。以下同じ。)は、この規程の定めるところにより、国土交通省に備える地質調査業者登録簿(以下「登録簿」という。)に登録を受けることができる。
2 前項の登録の有効期間は、五年とする。
3 第一項の登録の有効期間満了の後引き続き地質調査業を営む者は、登録の更新を受けることができる。
※地質調査業者登録規程より抜粋
同時に、当時の建設省計画局長の名の下に「この規程に定める地質調査業務の発注に当たっては,極力この規程による登録されている地質調査業者の活用を図ること」という通達が出されています。地質調査業者は、登録の有無にかかわらず営業することができますが、当該通達が浸透している状況下では、公的機関の地質調査業務のうち約9割が登録業者である点は注目すべきでしょう。
地質調査業者の業務
地質調査業者は建設事業等に関わる以下のような業務を担います。専用の機械を用いて調査計測を行い、設計や施工の判断材料として資料および専門的所見を提供して、土木建築工事の正確性や質の維持に貢献します。
【以下の調査および計測など】
- 地質構造
- 基礎地盤
- 土または岩の工学的性質など
これら地質調査が行われる分野は主に学術・資源開発・建築が多いといえます。たとえば道路を作ったり橋を架けたり、建物を建てたりした場合、土地の開発および工事後の維持管理が必要になります。このとき、欠けてはならないのが「地盤の状態確認」「自然災害への対策」のための地質調査であり、より正確なデータがあって初めてクオリティの高い設計・施工が可能になるといっても過言ではないでしょう。
地質調査業の具体的な仕事
地質調査業者の仕事は幅広く、専用の機械によるデータ取得だけではなく人間の感覚に基づく微細な変化の確認を行います。具体的な仕事として以下を挙げることができます。
図面収集
地質調査の土台となる各種図面を収集し、地盤状況を総合的に判断することで、効率的な調査の実施を可能にします。
- 調査地域周辺の地形図
- 地質図
- 地盤図
- 空中写真等の地図・写真類及び調査報告書
- 工事記録
- 災害記録
- 地質文献 など
技術者による観察および計測
専門的知識と経験を有する技術者が現場の観察や計測を行い、地質図の作成に貢献します。具体的には地形や露頭、転石などの状態をみていきます。
「見えない部分」の構造調査
外からは見えない地下の地質構造を調査します。地震波や非抵抗、電磁波や音波などを活用し、地面を掘り起こさなくても調査することが可能です。なお、エックス線CTや超音波CTの技術を活用したジオトモグラフィーという調査法を用いて、地下の2次元断面画像を確認することもできます。
ボーリング調査等
目に見えない地下の調査方法として代表的なのがボーリング調査です。地盤を一部掘り出すことで、当該エリア一帯の土質や岩盤の状態などを直接的に観察することができます。
各種計測
地質調査で行われる計測では、専用の機械・器具あるいは方法によって地盤の状態を探ることが可能です。ボーリング孔を利用した計測やサウンディングなど、各種の手段を組み合わせて調査を実施します。調査で採取した土や石などの試料は、試験によりその性質が明らかにされます。
データ整理と図面作成
調査や計測、室内試験が終了したら調査結果の整理を行います。個々の計測や試験のデータを評価し、土質・地質柱状図や土質・地質断面図等の図面作成に活かします。
解析および判定
調査に関する全データの解析および判定を行います。
- 地層及び土性の判定
- 土質及び地盤定数の決定
- 対象構造物に対する調査結果の検討
- 設計・施工に対する助言 など
報告書の作成と提出
解析および判定を終えたら、発注者に提出する報告書を作成します。地質調査業者としての業務を終えた納品物になるため、正確かつわかりやすい内容であることが求められます。
※一般社団法人全国地質調査業協会連合会ホームページ参照
関係法令
手続先および費用
【手続先】
北海道開発局事業振興部建設産業課
札幌市北区北八条西2丁目札幌第一合同庁舎
【費用】
無料
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