昨今では実店舗やオフィスを借りて事業を行う人がいる一方で、事業所情報をレンタルすることで手軽に会社を設立する人も増えてきました。しかし、さまざまなコストがかかる創業時を乗り越えるためには、ある程度の資金も必要です。ここでは、バーチャルオフィスによる日本政策金融公庫からの融資可否について説明していきます。
バーチャルオフィスで融資は受けられるか
事業を行うためには、拠点となる事業所を持つ必要があります。しかし、事業所を賃貸するには相応の経費がかかり、創業時あるいは間もない時点では大きな負担になるといえるでしょう。そこで注目されているのがバーチャルオフィスです。バーチャルオフィスの仕組みを利用すれば、会社を設立するために必要な住所・電話番号といった登記情報をレンタルすることができるので、経費を安価に抑えることができるのです。
バーチャルオフィスでも融資は受けられる
当事者として不安に思うことは、バーチャルオフィスという新しいスタイルでも融資を受けられるかどうかという点にあるでしょう。しかし、実際には融資の門戸は開かれているといえます。たとえば日本政策金融公庫の場合、バーチャルオフィスであることを理由に融資申し込みを断ることはないようです。あくまでも一般の申し込みと同様に取り扱い、審査を経て融資の可否を判断するのです。例えば、以下のような点を重視して審査を進めます。
- 事業所情報が明確である
- 事業計画書が十分に作りこまれている
- 根拠に基づく将来像を見通すことができる
- 面談での印象がいい
- 返済能力を評価できる
結局のところ、事業としての信頼性や提出書類の信憑性、将来性などが見られる点は通常の融資申し込みと同じであり、バーチャルオフィスだからといってマイナスの影響を受けることはないと考えられます。
バーチャルオフィスでも融資を受けるために大事な要素
バーチャルオフィスでも一般的な事業所と同様に審査を受けることができますので、審査に向けた準備もしっかり行っておきましょう。非常に重要だといわれる代表的な要素は、次の3つだとされています。
充分な自己資金がある
一時的にお金をかき集めて表面上の残高を多く見せる「見せ金」は通用しませんので、時間をかけて蓄えていった自己資金であることをアピールすることが大事です。そのためには、通帳でお金の流れを、帳簿からお金の出所をそれぞれ確認してもらうといいでしょう。自己資金は多いに越したことはありませんが、日本政策金融公庫の公式ホームページでは、融資申込額のうち約30%は自己資金として用意しておくことを勧めています。例えば1,000万円を借り入れたい場合は、約300万円の自己資金が必要になるということです。
事業分野に関する実務経験がある
これから立ち上げようとする事業、もしくは立ち上げた事業について、過去に数年以上の実務経験を持っていると有利であるといわれています。その理由は次の通りです。
- 当該事業分野に詳しい
- 専門的な知識や経験を持っている
- すでにその分野で実績を出している
事業分野に通じているということは、業界の動向に知見があることを意味し、経営の実力を測る要素になります。転じて、利益を出せる潜在能力を持ち返済実行も期待できると見なされやすいのです。
事業計画書をしっかり作りこんでいる
日本政策金融公庫に融資の申し込みを行う場合、事業計画書(創業計画書)を作成して提出することになります。書面では、事業の将来性や自らの返済能力について評価してもらえるよう、次に挙げるような事柄をきちんと盛り込むようにしましょう。
- 実現可能な事業内容か
- 収支計画や資金繰りは現実的か
- 根拠に基づく見通しを立てているか
- 利益が出るまでの流れは明確か
- 返済可能と判断できるか
日本政策金融公庫は国の機関ではありますが、金融機関として返済能力のある人に貸付を行います。したがって、事業計画書(創業計画書)は事業の将来性や自分の返済能力についてポジティブな評価を受けられるよう、根拠に基づく情報をしっかりと記載することが非常に大切です。
まとめ
以上のことから、融資に際してバーチャルオフィスかどうかが重視されるとは考えにくく、あくまでも事業の将来性について判断されることがわかります。シェアオフィスや自宅などを事業所とした場合も同様ですから、自分が携わる事業に自信を持ち、現状や将来性について日本政策金融公庫にしっかりと情報を伝えることができるよう、自己資金・経験・事業計画書の3点は少なくとも満たせるようにするといいでしょう。当事務所でも、会社設立に関するあらゆる手続きのご依頼を承っておりますので、ご不安な場合はぜひお気軽にお問い合わせください。